□月 ●日  No4310 兎の憂鬱1


 私が見た最初の印象は「杜撰すぎる」の一言だった。
 バケモノを封印するのならBSL3以上の設備が必要と思うが
 ここの設備はどうだろう、いいところレベル2が関の山ではないか。
 建造物が最初から研究施設として完全に設計されていないためとも思える。


 この手の施設ではとても多いことだ。
 一応生物学用安全キャビネットなどは完備されているものの
 この手のものは内部から破壊されることをほとんど想定していない。


 彼女ならどうだろう。
 彼女なら、レベル1でもどうにかしちゃいそうに思えて思わず苦笑してしまった。
 そもそも、彼女はもっと合理的な檻を用意するだろう。
 彼らを恐怖や懐柔という檻でくるんでしまうに違いない。
 そっちのほうがもっと強力な無力化手段だと思う。


 前言撤回
 彼ら、化け物を懐柔していたというより
 普通に仲良くなっていた。 
 いや、これは、違う。
 魅了している。
 私にも走査警報が出ている。こいつは危険だと察知した瞬間


 私は施設を追い出された。
 ここはまずい。 ここの主は人間ではない。バケモノになっている。