■月 ●日  No5355

 八雲商事の研究開発部門で一番の功労者は岡崎先生であることは皆の総意と言える。
 彼女の特徴は、とにかく予算の使い方のうまさである。必要なところに必要な資源を
 的確に配分するので無駄が少ないのだ。
 何せ彼女は自前で幻想郷に行くまでかなりの極貧生活だった。アルバイトをこなしながら
 幻想郷行きを安定移動できるようにし、さらに資材を運びあげて施設まで作って見せた。

 ここで凄いのは大きく分けて二つ。一つは隙間妖怪の力や専用の設備なしで
 既存技術で幻想郷移動を達成したこと、もう一点は、生体の移動が可能になったことだ。
 生体移動は自称現人神の移動をほぼノーリスクで実現させた。
 これまでの幻想郷移動はというと、妖怪たちが何人か集まって儀式みたいなもんを
 やって物資輸送をやっていた。高額な鳥居を何個も建築する羽目になり、
 建築費用もばかにならないし、結界安定のために待ちぼうけなんかも珍しくなかった。
 
 私が初期にいたときは移動中で電車が止まって引っ張る必要があったが
 それも今じゃいい思い出だ。

 まあ岡崎先生に足を向けて寝られないし、朝倉は呼び捨てでも、岡崎先生だけは
 教授または先生って言われるんだからその影響力はさすがだよね。