■月 ●日 No5160
事態を整理しよう。現在八雲商事社員を狙った異変発生のため
私は幻想郷内部に避難している。現在顕界で作戦行動を
行っているのは所謂荒事専門家である。
そこに出てきたのは婦警である。幻想郷内部で絶対現れることのない
コスチュームが、あり得ない深さで埋まっている。
途中まで掘り出した段階で婦警が息をしていないことに気づき
蘇生措置を施そうとしたが、こいつは勝手に動き出したってところ。
まあ婦警じゃないな。小兎姫も使ってる例の制服だ。
よくよく見てみると傷だらけの躰にところどころ金属が覗いている。
一部の傷はふさがりつつあるが、それに思わずピンときた。
あっ、これうちの会社の卸品だと。
月面戦争が終わり、多くのヴィヴィット型アンドロイドはお役御免に
なるはずであったが、結局月面人のたっての希望で
彼女は引き続き月面での活動に従事することになった。
彼女たちは月面人ととても相性がいい。なにせ穢れがないのだ。
ここに月面でとある政変が起こり事態は急転直下する。
月面人はあろうことかヴィヴィット型のアンドロイドたちを人類の
後継者とみなす動きがあったのだとか。
こうなると、彼女と同型が見事に巻き添えを喰らうことになった。
彼女もまたその一人なのだろうってことだ。
とりあえず、予想を立てて、通信プロトコルを確認すると
連絡先はやっぱり小兎姫だった。自分が知り合いであることを
伝えると彼女が心底ほっとした表情になって何よりである。