▼月 ○日 No 091 文化って捻じ曲げられて伝わるのね


バレンタインであるが、もらったチョコはボスから配られた義理チョコだけである。 合掌。
幻想郷にバレンタインは存在しない。 理由は簡単。チョコそのものが入手できないからである。
ところが朝倉が悪戯心で鴉天狗一味と結託して、好きな人にお菓子を上げる日に仕立てあげてしまった。
かくていたるところでお菓子作りが始まったわけだが、つまみ食いのし過ぎでお菓子が無くなって泣き出した氷妖精とか
材料にキノコを投入している黒い魔法使いとか、お菓子作りに関しては専門家のメイド長は砒素を混ぜているわ
なにやら怪しい雰囲気である。 こういう場合は他人の振りをするのが正しい選択なので
ただ注文をうけたものを配達するだけにして誰からももらわないようにするしかない。
薬屋がクッキーのような食べ物を強引に渡したが、ためしにネズミに与えたところ痙攣した挙句昇天してしまった。
朝倉に調べさせると、強力な合成麻薬が検出された。 


香霖のところへ納品に行くと、やつがいつになく上機嫌である。
聞けば黒い魔法使いにお菓子をもらったらしい。 香霖堂に張られている鴉天狗が撒いたであろう広告には、
"心をこめたお菓子を"とかいてあった。
とりあえず、邪魔をするのはよくないと思い、さっさと納品を済ませて引き返した。
背後に爆発音が鳴り響いた。 振り向いたら負けだと思っている。
お菓子に混ぜられたもの、込められた物は手早く頭から抹消したいと思う。