□月 ●日  No662 小兎姫の手記


朝、ベットから転落寸前のところで目を覚ます。外はまだ薄暗い午前五時。
予定より少し早く起きたのでシャワーを浴びてちょっと凝った朝食を食べる。
毎日これくらい余裕があればいいのだけど、ついつい夜更かしした後はなかなか起きられないものなのです。


今日は東風谷の名前を騙っている新興宗教団体にガサ入れです。
東風谷の名前は今も政財界でかなりの影響力を持っていて、早苗様が幻想郷へ行ってしまった後も
あちこちで東風谷の名を騙る詐欺師が後を絶ちません。
もっとも早苗様がいたらいたで、早苗様の名前を借りた詐欺師が悪事を働いていたので
私の仕事はあまり変わっていません。


普段はもっとゆっくりとした時間に行うのですが今回はそうはいかなくなりました。
秘封倶楽部と名乗るサークルが東風谷の名前を騙る彼らに探りを入れていたからです。
彼女たちを狙う暴漢達は早速始末させていただきました。
相手が短気だったおかげで予想よりも早く事が運べそうです。


早苗様の偽物は本物と似ても似つかぬメタボな「野郎」でした。
第一早苗様は女性ですし、誰がみても無茶だろうと言った按配です。


秘封倶楽部に在籍しているという二人の少女が、本物と違うと叫んだ時は一瞬どうしようかと
思いましたが、予想を超える姿を前に私も動きが止まりました。
渡された資料はもうちょっと顔がやせていたんですよ。
こんな姿をヤサカ様がご覧になったらきっと目を回すのではないでしょうか。


宗教団体とは聞こえはいいのですがやっていることはただのマルチ商法でした。
いつもそういう相手とは限りませんが今回は特にひどい小物でした。
しかもダクトスペースに隠れて瞑想していると言われたときには
思わず、ここでやる馬鹿はいないと突っ込みを入れるところでした。


とりあえず全員の身柄を拘束して警察に引き渡します。
秘封倶楽部の二人は東風谷様を捜していたようですが、教えることはできません。
もっとも今の早苗様の暮らしをみたら驚きのあまり失神するかも知れません。
いろいろな意味で。


夜、居酒屋で職場の人間と打ち上げ。
隣でマルハチの人たちが暴れていましたが見ていないふりをしました。
資料でしかみたことのない重要人物を確認することができました。


会社に戻って報告書を書いて退出したのは夜の12時。
最近、警備保障への電話ばかりしている気がします。
あーたまには遊びに行きたいな。