□月 ●日  No663 圧力団体と仲良くしようぜ


何気なくテレビを見ていたら某環境保護団体の抗議デモの中に、ケイマン諸島で見かけた
妖怪資本のお偉方を発見して思わずお茶を噴いてしまった。
そんなものも映る今の高精細テレビには驚くばかりだが、妖怪たちと環境保護団体の取り合わせには
かなり驚かざるを得ない。


というのも環境団体の保護対象は毎度毎度偏っており、却って妖怪たちの脅威になる場合が多かったからである。
彼らはいいことをやっているつもりなのだろうが、その結果はいつも上手くいっているとは限らない。
もちろん彼らのおかげで、妖怪の住処も守られている一面もあるので無下に扱ってはいけないのだが。


噴いたお茶を雑巾で拭いている朝倉にその人物を指さして訪ねたら、
妖怪たちが環境保護団体を利用することは常識だと言われてしまった。
圧力団体という物は特定の立場にある人間の利権を守るためにも動くのだという。


例えば街宣車を例にとっても、彼らは街宣で主義主張を伝えるのが目的ではなく
その車が持つ威圧感を示すのが目的だったりする。
たとえば政敵のスキャンダルを見つけたら街宣車を走らせるのは基本である。
聞くところによれば、一定額支払えば暴走族も動員できるのだという。
この場合は色々な予算を引き出せるためだそうだが、話がふくらむのでやめておく
手段こそが目的であって、結果はその副産物であると言える。


そもそもそうした権益を守る団体は利用してなんぼだという。
そもそも権益を確保するのは一朝一夕ではできない。
色々なコネもあるし、そのために様々なものを犠牲にしていたりもする。
彼らを批判するのは誰でもできる。 だが彼らはこの世の酸いも甘いも知っている。
だからこそ味方に付ければ頼りになる。 利害が一致すれば利用しない手はないというわけだ。


どうやら幻想郷を守るには、清濁併せ飲むくらいの気概が必要なようだ。


ここまで話した時点で朝倉の様子が少しおかしい。
以前枕営業なら私にお任せと言ったら、みんなに「ないない」と言われたらしい。
すこし声に涙が混じっている気がする。
政治家の中には元映画俳優とかもいて結構ハンサムさんが多いらしい。
ふと思い立って、枕と言っても平均年齢60くらいのじいさんと寝る気かと尋ねたら
手をぽんと叩いて、「ああそうか」と声を上げた。


とりあえず「無理なのね」という朝倉の頭をピコぽんハンマーでどついた。
お茶拭かせておいてすいません。