□月 ●日  No771 世にも奇妙な荷物


季節の変わり目になると体調を崩す場合が多い。
急に寒くなったり熱くなったりすることで、自律神経が乱れて体調を崩しやすいのだ。
しかしそれだけでは全ての説明をすることができないかもしれない。


スコアを稼ぐために今日も地下に突入。
最近気がついたのだが、地下なら隙間妖怪もやってこないようだ。
妖怪同士の不可侵条約みたいなものが結ばれているようだ。
こいつは便利だ。 素晴らしい。


今日運ぶのは謎の箱。 相手は蜘蛛妖怪とある。
いわゆる保冷箱で通常は紅魔館で血液輸送に用いるものだ。
そして納品。 中を確認するとそこには沢山の試験管が入っている。
なにかヤバイ予感がする。


蜘蛛妖怪にこれはなんですかと尋ねると
涼しい顔で「ライノウイルス」と答えた。
くしゃみ鼻水鼻づまりを引き起こす有名な物だ。
まさか幻想郷にバイオハザードでも起こす気なのか?


どうするのかと尋ねると
「幻想郷に撒く」という。 
いよいよヤバイと感じ朝倉に連絡を入れようとしたら引き留められた。
まさか口封じで殺されるのか?


蜘蛛妖怪がライノウイルスをばらまく理由。
それは今のうちにちょっとした風邪を引かせることで体の免疫機構を強化する狙いが
あるらしい。 今年流行するウイルスを少量撒くことで病気の重篤化を防ぐという。
病気を操る能力は幻想郷を守る為のものらしい。


薬や抗生物質で治るのかと思っていたら
ウイルスの類は抗生物質ででどうにかできるものではないようだ。
薬屋が風邪を引くのもその為だという。
特に月人は長い間病気と無縁であったため、やってきた当初から
少しづつ免疫機構を強化するように活動していたとか。


ふと考えた。
それを指示したのは一体誰だったのだろう。
聞こうと思ったが、何か嫌な予感がしたのでやめておいた。