□月 ●日  No989 謎の吸血鬼


夢幻館の周辺を巡回する吸血鬼の存在を知っているだろうか。
非常に珍しい昼間も活動できる吸血鬼として知られている。
同様に昼間も活動できる吸血鬼としては紅魔館にいるヴァンパイアの主人が知られているが
彼女の場合は直射日光、紫外線などに対しても十分な耐性を持っている。


ノーレッジ女史に言わせると吸血鬼が夜活動するなんて迷信だという。
吸血鬼と言えばコウモリが知られているが、血を吸う動物ならアリクイなどもいるそうで、
昼間動ける吸血鬼属性を付与することは決して難しくないらしい。


また、耐水性も兼ね備えており湖での作戦行動も可能とされている。
よく幻想郷に居る門番は戦闘力よりも弱点が少ないことを重要視するが
まさに彼女はそのタイプであると言えるだろう。


今日初めて彼女の姿を見た。 なぜか黄昏酒場のC2H5OHで呑んでいた。
有江さんに彼女を知っているかと言われて初めて気づいた。
綺麗な人であるが、近寄りがたい雰囲気がある。
曰く彼女こそ境界型と呼ばれる妖怪らしい。
夢幻館は主に霊能局と繋がりが深い幻想郷と顕界を繋げるもう一個の門である。
恐らく彼女は霊能局の職員の可能性が高いだろう。
きちんとお金を払ってくれる上得意様との事だった。


たしかに顕界は吸血鬼にとってはそれほど悪い環境ではない。
ましてや彼女みたいに昼間も通常通りに活動できるのなら
血液にしても合法的に手に入れることはできるし、暮らしやすいかも知れない。


実際有江さんの酒場は女性客によって支えられている。
よく変態どもがやってきては殴られに来ているようだが
周囲の目は結局金を払わないといけない状況へと追い込んでくれるので
結果的に金の取りっぱぐれは殆ど無いのだという。


しかしこのヴァンパイアやたらアルコール度数が高い飲み物を呑んでいるが
ウワバミ具合は浅間に負けないのではないだろうか。
恐るべしである。