□月 ●日  No1170 かぜひいた


風邪を引いたので顕界で待機。 昨日の無理が祟ったのだろう。
幻想郷への疾病対策として顕界で風邪を引くなど感染症にかかった場合は幻想郷に行くことはできない。
これは食中毒などでも行けなくなるほど厳格に運用されている。
社内でも風邪が流行っているので幻想郷に行ける人材が減っている。
一部休みを振り替えたり、現地スタッフを回して対応しているそうだが顕界に帰れないスタッフもいるそうで
申し訳なく思う。


朝倉が見るに見かねてあまり披露しない魔術を用いた風邪の治療方法を試してくれる。
ハーブティとかの類であったがそれでも大分身体が楽になった。
のどが痛いのは変わらず。


結局この日は早退することにして家で休むことになったのだが、
ボスがルーコトを一機貸してくれた。 元々家事用の機能を備えたヴィヴィットの量産型である。
北白河が変な気を起こしても大丈夫と豪語するがあいにく私にはそんな趣味はない。
メイド服はあまりに目立つので、岡崎の普段着を着込ませ色々家事を頼んでみた。


ボスが貸したものだけに仕事はそつなく部屋もきれいに掃除してくれる。
洗濯もしてくれる。 確かに有り難い。 がこっちは病人。生活音をがんがんまき散らすルーコトに
空気をよむという機能があるわけでもなく、まともに眠れたのは三時過ぎになってからのことだった。


朝倉から連絡が来る。 買い物させるときはきちんと上限額を指定して、買う物を細かく指定しないと駄目らしい。
買いに行く場所も指定しないと駄目だと言われる。 面倒で仕方ないのだが贅沢は言わないでおこう。
指定しないとクレジットカードを使って高い食材を買われてしまうのだという。
おそらく朝倉のことなので、自分でルーコトに買い物させたのだろうと思われる。
きっと酷い目に遭ったのかもしれない。 有り難いが、なぜそういう行動に出たのか理由を考えると思わず笑みが出る。


次の日、近所のおばさんから彼女はどうなったと言われて頭が痛くなった。
実はルーコトに着せていたのは、岡崎のジャージだったわけでそれがご近所さんにあらぬ憶測を生んだようだった。
ルーコト自体オーバーテクノロジーの産物なので、親戚などと適当に理由をつけておいた。
使用時は色々諸刃の剣といえるかもしれない。


それにしてもルーコトのような存在はこれからの介護などを考えるともっと必要になるのではないかと思ったりもする。
コストダウンと、燃料の安全性が確保されればもっとよいわけだが。
これはまだ発展途上と言うことで多めに見たいと思う。