□月 ●日  No1176 幻想郷的祝いの席


幻想郷でちょっとお目出度いことがあったので便乗する。
結婚式などハレの日と呼ばれるときに出されるのが赤飯である。
さて、この赤飯。幻想郷と顕界では作り方がまるで違う。


顕界の赤飯というのは餅米に小豆で色をつけたものであるのに対して
幻想郷には赤飯(あかめし)という稲を用いる。 稲の古代種であり東南アジアでとれる。
顕界でも全く栽培していないわけではないのだが、所謂中途半端に幻想入りしたものとして
有名となっている。


ここで幻想郷のお祝い料理について書いてみる。
幻想郷には海がないので鯛がない。 鯛がなければ何を出すのかというと、
鶏肉を出すのである。 ここでミソとなるのは頭を必ず添えることである。
これは尾頭付きと全く同じ発想。 完全無欠であるということを表現するためのものだ。
これに普段は手に入らないような食材をふんだんにいれた煮物を加えれば
お祝い料理の完成という次第。


しかしながら期待に反して量はちょっと控えめになっていた。
そろそろ幻想郷も食料備蓄に走らないといけない季節だからだ。
実は今年の幻想郷の作柄はあまりよろしくない。
秋姉妹が仕事をしないからではなく、ここ数年ほど顕界でも幻想郷でも太陽の活動が
弱まっていることにより、若干の寒冷化が起こっているのである。


もっとも幻想郷は寒冷状況に耐えられるように多少の食料備蓄は徹底している。
妖怪の気まぐれで気候変動が起こるリスクは常に考慮しないといけないからだ。
従ってうちの会社の物資援助も相まって、どうしようもない飢饉状態は避けられているのが
現状である。


お祝い事は無事に終わり撤収。
これから大変だがちょっとした気分転換にはなったと思う。