□月 ●日  No1340 代用品


ボスが久々に難しい顔をしている、
なんでも、政府のお役人から自称現人神を顕界に呼び戻せないかという
働きかけがあったらしい。
今年の異常気象を見ればさもありなんと言うべきところではある。


自称現人神は月面戦争での安全保障のために幻想郷入りしたことになっているという。
だが、彼女が生きているとなら頼りたくなる気持ちは分からなくもない。
異常気象による被害総額を勘案すれば自称現人神を養う金なんてたかが知れているのだ。


この時期は穀雨の時期である。 田畑を潤す雨が降り作物の生育を助ける時期である。
ある程度環境コントロールができる幻想郷では、これらタイミングを
制御できるので顕界に負けないレベルでの作柄を稼ぎ出すことができるらしい。
当然そのことを政府の次官クラスの人間なら常識として知っている事なのだそうだ。


とにもかくにも何とか代わりを用意しないと色々面倒な事になってきたので
代用を探す方向で調整。 ただ、巫女なら誰でも良いわけではない。
カミ様をきちんと呼べる人となると浅間しか居なかった。


取り敢えずテストで例の神社にいるおねえさんを呼び出してみると
なんとあっさり上手くいった。綿月依姫に近い神楽をきちんと踊りながら
呼んでいるので正確に発動できるのだろう。


面白いのはおねえさんの反応で、自称現人神が呼んだ訳じゃないことに
気づくと警戒したそぶりを見せたが、呼んだがの我々と知るや
買い物して良いかなど言い出しており滞在期間は延びそうだ。
娑婆の空気はうまいとかいってるのはどうしようもない。


一応目的は完遂できそうだが、浅間が我々の部署に呼ばれた理由は
むしろこれなのではと思う次第である。