□月 ●日  No753 幻想郷における夏祭り論


なにやら河童達の動きが慌ただしい。
浅間から何故と聞かれて返答に困った。
夏祭りからちょうど半月が経過している。 この時期になるとわかることがある
女性の妊娠である。


幻想郷の祭りでは男女総出で関係を結ぶ風習がある集落は少なくない。
血が濃くなることを防ぐためである。
血が濃くなると、先天的障がいを抱えてしまう可能性が増えてしまう。
必要とあらば妖怪とすら関係を結ぶケースもあるのである。
羨ましいとか破廉恥だとか言っている場合ではない。
自分の奥さんが別の男と関係を結んでいたら堪らないし、逆もしかりだ。
しかも出来た子供は共通の財産として堕胎してはいけない決まりとなっている。
河童達が大騒ぎしているのは彼女たちを監視するためというわけだ。


幻想郷はわりと性に対してオープンな気質を持っている。
最近イスラーム系やヨーロッパ系妖怪が流入したお陰で価値観の変容が
発生しているが、概ねオープンと考えてよいだろう。


自称現人神や博麗の巫女はどうだろうか?
特に自称現人神みたいな外の世界の人間には幻想郷のオープンさは
ついて行けないのではないかと思っていた。
しかしぶっちゃけ二人とも満足に祭りに参加していなかった。
自称現人神なんか、祭りをやっても妖怪少女対象で関係を結ぶ可能性は低い上
一説ではおねえさんやケロちゃん帽のカミが先に以下自主規制である。


ちなみにこの風習が嫌だという思う方は是非ともスカーレット家の傘下に入ることを
オススメする。 処女信仰が強いので色々安心だ。
当然祭りの時に関係を結ぼうものなら紅魔館の妖怪に八つ裂きにされるともっぱらの噂だ。
ただし結婚するときは紅魔館から色々と援助が出たりするするので、外から来た人には
評判がよい。


問題は河童達だ。 河童達の間にも出来ちゃった輩がいるようである。
祭りのどさくさに紛れている奴がいるようだ。
これであとは旦那を見つけるだけだとわいわい騒いでいる。
顕界のできちゃった婚なんてまだまだ甘いと感じ入る。


この時期餅米の消費量も増える。 赤飯を炊く家が多いからだ。
夏祭りの時に出来た子供はとても縁起が良いとされているからである。
絶句する浅間を朝倉がこう制した。 幻想入りした風習が残るから幻想郷だと。
言われてみれば確かにそうだ。
気持ちはよく分かるが。


魂魄から一緒に行こうと誘いを受けたことがあったが
今いち気乗りしない。 何故かって?
実は関係をもつ異性を選ぶことはできないらしいのだ。
くじ運が悪い私にそれはかなりリスキーな選択である。


朝倉や里香女史がやたら性に対して開放的な理由がなんとなくわかって
微妙な気分になった。