□月 ●日  No1573 研究用映像


河童達が自称現人神の映写機をコピー、ついでに映像ソフトをコピーして
って、河童の著作権フリーダム振りに辟易する。今後一度釘を刺さないと駄目だ。
そんなわけで、街頭映画館ができたわけなのだが。
今は冬である。 夏ならいざ知らずこのクソ寒い中に映画なんて観る奴なんて
いないだろうと思うわけだが。


どういうわけか防寒着を着ながらも利用者はいるようである。
普通映画館というと一人で行くものではないと思うのだが、幻想郷の住民達は
普通に一人でふらっとやってきて、適当に映画を見ていってふらっと帰って行く。
八雲商事の連中に聞けば、朝倉を除いて一人で行くなんてことはしない。
冴月でさえ、仲が良い友人と一緒に行くものだ。


自称現人神での上映会とは雰囲気が違う。
そもそも最初から最後まで見ていない。
スタートがどこで結末がなにかなんて見ていない。 
そこに映っている役者さんを見て満足なのか、時間を潰しているのか分からないが
ぼーっと、映像を見てそのまま帰る。


そこで、映画を見ていた妖怪一人に声を掛けて、これの筋書きの話をしたのだが
筋書きなんて何ですかと言わんばかりだった。第一意味不明だと言われた。
よく考えてみれば幻想郷と顕界で価値観が違うのだ。 これがフィクションだと
思われていないのである。


そういえば、霧雨のご息女が一人でやってきて、なにやら必死にメモを取っていた。
幻想郷住民にはSFXか本当の出来事かも区別できていないらしい。
特撮という要素は幻想郷住民にとっては高度すぎるというわけだ。


だから幻想郷住民はこれが弾幕のヒントになる資料映像だと思っているらしい。
場面が変わるのは魔法のお陰で、どうやって瞬間移動しているのかとか
連続性がある話とも思っていない。 理解できたのはネット転載天狗とかという有様だ。
そういえば、自称現人神がこれは劇だと言っていた。
もしかすると幻想郷住民は劇だと前置きがないといけないのかもしれない。


というわけで幻想郷映画館は利用方法がどうもずれたまま今日も運営されている。
寒空の下一人で防寒着を着て黙々とメモを取る場面ばかりが展開される
異様な光景である。