□月 ●日  No1396 スタンガン


いつになく朝倉が上機嫌で理由を聞いて欲しくて仕方ないようなので
話しを聞いたら、なんでもスタンガンを喰らったらしい。
本人曰くスタンガンで自分を眠らせてホテルに連れ込むつもりだったのだろうと
言うことだが、単に痛かっただけだったという。


あ た り ま え だ。


案の定肌に跡が付いた上に、思わず痛さのあまり犯人をどつき斃したらしい。
もう一度言おう。


あ た り ま え だ。


肌についた跡については何も心配はしていない。
朝倉だから大丈夫としか言いようがない。
そのまま警察にでも突き出せば全く問題なかったのだろうが
朝倉好みの容姿だったそうで、私を連れ込みたいのねとばかりに
よりによってあの場所に連れ込もうとしたようだ。


わたしが察するにどうみても強盗の類だと思うのだが。
とにかく、私に気があるからスタンガンで襲ってきたんだと主張しており
北白河の冷静な突っ込みにも熱っぽく答えている。
しかも警察には突き出さなかったらしい。 駄目すぎる。


連絡先を聞いたというので朝倉の目を盗んで電話の番号を控え、
電話を掛けてみると、相手からご免なさいご免なさいという弱気すぎる声が聞こえてきて
皆で思わず失笑が漏れる。
連絡先だって口から出任せ言えば良かったのに、多分本当の電話番号を言ってしまうような
雰囲気にさせられたのだろう。
朝倉に目を付けたのはすでに間違いである。
たぶん人生最大の汚点になることは間違いない。


電話を替わった北白河がこの犯人に電話番号を変えて何処かに身を隠せとアドバイスしていた。
ここで北白河を口説いたら面白かったのだが、彼は草食系だったようだ。
って事にしておこう。


もちろん彼の身元は我が社の権限で把握済みと言うのも記載しておく。
朝倉の脅威から身を守る為には仕方ない。


その後朝倉はあちこちにスタンガンの跡を見せて回って自慢していたようだ。
流石にこれにはみんなもあきれ顔である。
いい加減気づいて欲しい。