□月 ●日  No1403 ネタで買ってるだけとも言う


得体の知れない業者らしき人物が妖怪に効くという香水を売り込みに来た。
うちの会社にいる人間に妖怪が混じっていることに気づかないところが
どうにもナンセンスすぎる。


うちの会社が妖怪相手の商売をしているという噂を聞きつけて売り込みに来ているようだが
まさかこちらも妖怪だとは思っていないらしい。
しかも、うちの妖怪社員がネタで買っていたりするので気をよくした業者が
こうしてまた売りに来ているのである。
まるで会社相手の弁当やお菓子の飛び込み販売のようである。


確かに妖怪相手にお香にお香を利用することはある。
中国由来の対妖怪兵器でもかなり用いられる。
弾幕に対妖怪の殺傷力を与えるエンチャント化にかなり有効だ。


業者は妖怪に効くというフェロモンが効果を与えると言う。
動物などに由来する妖怪はフェロモンである程度コントロールできると言いたいらしい。
これには妖怪の社員数人から失笑が漏れる。
社会活動における誘導物質程度にしか利用されないフェロモンで
人間と同等の思考を持つ妖怪が惑わされるとは思えないことは妖怪と少しでも接触していれば分かることだろう。


魂魄にそれでも妖怪達は何故香料を買うのかと尋ねると、本来なら効果がない香料でも
効果があると喧伝され謂われが出来てしまうとそれなりに効果が出てしまうからなのだという。
たとえば蚊取り線香が虫妖怪に多少効果があると言った具合だ。
まあ、除虫菊なので虫にとって科学的に有毒だからなのだが。


それ以外の場合ならそのお香に先行で触れて耐性を作ってしまうらしい。
北白河に聞いたら、お香の購入代金は会社で持ってくれているという。
経費申請書に書けば購入額分支払われるのだとか。
早速何個か買ってとりあえず試したようだが、結構芳醇な香りで
妖怪相手と言うよりは単なる良くできた香料のようなので適当に社内で使うことに。


結局トイレで使ったらにおいが取れると言うことで買った奴はトイレに配置されている。
こんな方法で臭いに耐性がついていると知ったら関係者はひっくり返るに違いないと思う私であった。