□月 ●日  No1507 次世代ダイエット


夏が糞暑かったせいか、農作物の収穫はそこそこ良かった幻想郷において
食べ過ぎはこの時期少女妖怪の頭をもたげる問題となる。
カロリーを気にしている妖怪が鶏肉に走って夜雀の屋台に行列を作るのも
この時期だったりする。


この日、うちの会社は緊張に包まれた。
幻想郷「高天原」に浮かんで居る幻想ミールを襲撃した馬鹿が現れたからだ。
幻想郷内の宇宙で何が起こるのかを調べる為に作られたこの宇宙ステーションだが
駐在員が数人しかいないこの基地に、物好きな輩がやってきたというわけだ。


映像が飛び込んできたと思ったら、涙目の綿月豊姫がごめんなさいと喚きながら必死に
謝っている。 裏にいるのはメトセラ娘と薬屋。 
宇宙服も着ないで正気の沙汰ではないが。考えてみればふたりとも空気のないところで
いても死なない組だったりする。
便利な連中だ。


一体意図はなんだと尋ねると、ミールのエアロックを開ける奴らの姿が
一体何をしたいのだと本気で疑問に思う。
外に飛び出し、向かうは地上へワイヤレスバンジーを敢行。
当然、大気圏にぶち当たりぱっと光った後、一度消滅する。
そしてやがて復活する。


現地スタッフが着陸予定場所へと急ぐ。
スタッフを待っていたのは互いの贅肉を握り合って大喜びしている
蓬莱の薬を飲んだ馬鹿二人だった。
脂肪が燃えた。 大勝利と。
どうみても蒸発という言葉の方があっているような気がする。


どうやらこいつら、復活の時の再構成を利用して太った身体をチャラに
しようとしたみたいである。腹筋運動はどうしたんだと薬屋に聞いたら
こっちの方が効率が良いと言う。
スタッフ全員が脱力感に苛まれたのは言うまでもない。


結局、新手のバンジージャンプと言うことで処理されることになったのだが
あとでやってきた豊姫が菓子折を持ってきて必死に謝っていたのがなんとも
印象的だったことをここに記しておく。
大迷惑な話である。