□月 ●日  No1535 新たな関係性


ボスがたびたびホームパーティを開いているのは周知の通り。
お声が掛かったので遊びに行ってみたら、何故かそこにどこかで見たことがある人物。
かつらを被っているものの、もしかすればもしかすると思い、尋ねてみたら
やはりそいつだった。 彼女の名前は古明地さとり 標的の思考を読み取ることができる妖怪である。


セクハラを巧みに躱す明羅女史に話を聞いてみると今回は政治屋の連中を呼んでいるらしい。
有権者となっている妖怪達も少なくない中、彼らとしても安定して票を取れる妖怪達の
力を借りることはとても重要なことであると認識しているようだ。


顕界の妖怪も時代と共に変化するが、最近は有力者に取り入る妖怪も居る。
たとえば環境問題にかこつけて、池沼の浄化事業を第三セクターでも立ち上げれば
妖怪達の生活空間を確保しつつ、その資金は税金で賄うこととなり、それによって一定の
雇用も生み出すことが可能である。 これはほんの一例だが、こうしたやり方で
妖怪達も自らの生活空間を確保しているのである。


明らかに浮いたドレスを着ている朝倉が議員さんの横で呑んでいる。
ほとんどお水の人にしか見えない。 一方浅間は強いお酒をどんどん呑まされている。
それが間違いであることに気づくのは多分数時間経ってのことだろう。


地霊殿の主人こと古明地さとりに呼び出されてバックヤードに。
無言でノートを渡されて、こいつにメモすることに。
来ているゲストが何を考えているのかを書き込むためである。
一つ言えるのは世の中にはゲテモノ趣味がいるってことだ。 誰のことかは触れないでおく。


妖怪が選挙戦で大きな武器になることを知っている政治屋はここで狼藉など
はたらかないのが一般的だ。 大体の場合少しでも妖怪達にコネを作ろうと必死になる。
人間と妖怪のせめぎ合いの最前線がここにある。
よく、工事現場の重機に追われる動物たちの描写があるが、実際はこういうものらしい。


それでも、人間達の中にはだまし討ちをするものもいる。
そう言うところはきちんと落とし前を付けられている。
街の中に動物が出現して被害を受け続けているちいきがあったら、それは何かしらの
協定にほころびが出来た場所だと思って良いらしい。
人間と自然、そして妖怪の関係は奥が深いのである。