□月 ●日  No1797 幻想入りしたものだからと言ったらそれまでだが


八雲商事にいると最新の設備とか最新の武器道具とかを利用できるイメージがあるが
現実は断じて無いって話。


新型の列車が届いたのだが、いつもように鉄道会社から払い下げで色々萎える。
内装とか塗装とかはもちろんやりかえているが、操作系システムは古いままなので
不便さはいつものまま、そこに取ってつけたようなというか取って付けた
転送スイッチがビス留めされているのが涙を誘う。


これでも色々マシになったわけで、私が入社した時はわくわくしながら列車に乗ったら
冷房が壊れていて動かなかったなんてことが普通にあった。
冷房機を作っているところが払い下げのときに修理部品はないよと通告したからなのだが
あのときは巫山戯るな地獄に堕ちろって思ったものだ。


転送機構は月へ行くための列車以外はだいたい貨車に搭載される。安いからだ。
塗装し直して、幻想郷行きの貨車をのせれば輸送列車のできあがりという安易さである。
これでも、いままでは中間管理職狐に電話して目的地でランデブー
通路をあけてもらってなんてくそ面倒なことをしていたころを考えると大分マシになったのだ。


北白河が冷房がつくかチェック。暖房をつけたらもあっとした空気が広がって一応大丈夫。
旧式の列車を河童達が修理しているが本当にいつか事故ると思ってならない。
まあ、現実の鉄道会社も一台の列車を末永く使いましょう計画などという困った計画を
ぶち上げているので仕方ない。


それにしたって客車も払い下げというのはいくらなんでもやり過ぎだろう。
まかりなりにもこれからお盆で仏様が乗り込むのに、やってきた客車が誰が見ても寝台車の
改造版で天井の構造が色々怪しい代物なのはコメントしがたいものがある。
いくら安くてもこれは少々失礼じゃないだろうかと思う。


これに対して技術部は、連中が乗っていた当時よりもずっと上等だから大丈夫だという。
なんか色々泣けてくる話だ。


いつかはクラウンという言葉があるが、いつかは最新列車と思って今日の筆を置く。
まあ、不景気だからなあ。