仕事始めに朝倉から次世代スペルカードSDKなるものを渡される。
SDKとはソフトウェアデベロッパーズキットの略で、スペルカードに様々な機能を実装するための
ソフトとサンプルプログラムをセットした代物である。
これを元に他の開発者がさまざまなスペルカードを動かすためのソフトを作る。
そのソフトで弾幕の動きなどを妖怪達が作って、最終的に弾幕ごっこへと至るのである。
スペルカードはあくまでごっこ遊びであるが、きちんと運用しなければ死傷者が出る
危険な遊びである。従って、スペルカードで問題が発生しないように様々な対策を講じないといけない。
SDKはスペルカード製作における一種の指針であり、それを逸脱した場合は一切保証しないという
意思表示でもある。このSDKには新しいカードの機能が紹介されている。
新しいスペルカードで弾幕ごっこを有利にしたい妖怪達は今日の解禁日を心待ちにしていた。
これらSDKセットはカードや開発キット、本などが入った袋でわたされる
その姿から社内では「福袋」と呼ばれている。
今年も福袋の争奪戦が始まった。
福袋を手に入れるべく解禁日の前日昼間(つまり徹夜組)から並んでいる妖怪も居る。
昼間は暖かさからくる眠気が襲ってくるが彼らは必死に我慢している。
よく見ると妖精達も多く並んでいる。彼女たちが使うわけではなく、並び屋という妖精達の
バイトである。ちなみに報酬はチョコ板一枚である。
きちんと並んでちょこんと座っている。割り込みをすればすぐにペナルティが発生するからだ。
白狼天狗たちと将棋を打ちながら時間を潰しているのが美鈴女史である。
門板をメイド長に任せての参戦だ。うしろには妖精メイドが鎮座している。当然人数分
手に入れるつもりなのだろう。
この一大イベント。当然列崩壊を防ぐスタッフもいる。彼らはなんと混怪のスタッフ達である。
さすが百戦錬磨のスタッフ達、狡をした妖怪達にペナルティを与えつつ、しっかり
列を圧縮していく。まさにデジャブである。
そして解禁。
SDKを手に入れたらダッシュで帰還する。SDKを奪おうとする妖怪も居るからである。
当然、小兎姫達も厳戒態勢だ。
朝の9時から頒布されたSDKは午前のうちに頒布終了である。
今度はSDKのバグ報告にどきどきするのだがそれはそれで。