□月 ●日  No2029 他の国も大変なんですよ


米軍には所謂「怪異」と呼ばれる存在への対応部隊があると言われる。
怪異とは我々が言うところの妖怪であるが、基本的に人間の形状をしていない場合が
多いと言われる。もちろん交渉のテーブルにつくときは人間の姿をしているわけだが。


冷戦下では妖怪の情報網の争奪戦もあったが、当然人間に危害を与える妖怪達も多く出現した。
これには理由がある。妖怪達だって一枚岩ではない。特定の情報を得るためにその妖怪が
敵対している妖怪に人間の軍隊をけしかけるという事態が発生しているのだ。
八雲商事が、事実上国家から完全分離された存在であり、あくまで霊能局という組織で
紐付けされている点とは大きく違う。 


妖怪達は歴史上人間よりも高度な情報網を持つことで優位性を保ってきた。
故に、人間達は彼らを畏れ妖怪達はその畏れを糧に生活していたのである。
米帝の軍隊では生命力の回復の他に所謂妖怪達に力を与えないようにSAN値と言われる
判定法をもって妖怪に対して冷静に立ち向かえるかどうかを判断している。


ヴィヴィットに予算がついたのもこの問題が発生したからだ。
マシンなら、妖怪を下手に畏れることなく安定した戦果を上げることが可能と考えられたのだ。
実際にはヴィヴィットの力だけではまともな戦力とならず、所謂付喪神としての属性を
付与することで安定した戦闘能力を得るに至ったが、これは同時に妖怪とのリンク率を
高める結果となっており、現状で完全な戦力とはなっていないと言われる。
もっとも局地的戦闘では十分な効果を上げていることは間違いない。


面白い事実だが、カクタスカンパニーが作られた背景は、どうも八雲商事のコピーを
つくることにあるらしい。実際問題として、ヴィヴィットのベースとなった娘は
法界に囚われることに成功し、娘は暇で仕方なかった聖白蓮を利用して自らを魔法使いに
変貌させることに成功もしている。 結果的に聖輦船が突入できるルートを造ったのは
米軍とヴィヴィット改良型だというのがなんともはやである。


あとでその事実を知らされて米軍を救助にしにいったら、現地住民に紛れ込んでいたという
話しはそれはそれ。