ブラックと言われるかも知れないが八雲商事は慢性的人不足である。
もちろん妖怪も人間も雇用しているのだが、人間の生活に浸透したり適合を果たした妖怪は
自ら商売を立ち上げているとか、現在もどこかの組織にいたりとかなどをしているため
なかなかどうして集まってこないのが実情である。
人間の場合はどうだろう。もちろん我々の会社に入りたいという人も居るのだが
ある程度こなれている人 自分がある人でないと色々な意味で危険だ。
確実に幻想郷のルールの前に持って行かれる。
したがって八雲商事社員はかなりの割合で神社仏閣や宗教系学校などの卒業者が多く
なりがちだったらしい。 もちろん私の頃になると違う。
最初から怪異に慣れた人種なら、幻想郷の妖怪と対峙しても正気を保てると考えられていたのだ。
この辺のパターンで入社したのは浅間伊佐美あたりである。妖怪に対する感受性をもちつつも
距離をとることにも長けていた希有な存在だ。 故に博麗の巫女になることもできなかったが
八雲商事の社員として活動するにはこれほど都合の良い人間はいない。
状況を一変させたのはやはり東村教授の参画である。徹底したリアリストであり、
通常なら幻想郷と接すること自体が間違いである。
しかし彼はこの幻想郷でとてつもない仕事をしてみせた。妖怪の存在を認識していようと
していまいと重要なことは目の前の事態を事態として見つめる力であったと言える。
彼のノウハウは実は自称現人神の教育に生かされている。
結果、あのような人格になったがふたりのカミはそれはそれで喜んでいる。
なぜなら、今までの彼女の家系は常にエネルギー消費を強いられ、結果的に消耗の末
亡くなっていたことが多かったからだ。
現代では妖怪についてのきちんとした知識こそが妖怪と対峙するために必要なことと
認識されている。 そんなわけで、妖怪達に対峙する人がその手の人じゃないのか
って疑問はこのとおりである。そういう人は残念ながらミスマッチを起こすので
気をつけた方がいいって話。