□月 ●日  No2098 幻想郷の場合林業とは言えない


幻想郷の建造物は日々、資材不足に苦しめられている。
元々耐震性を上げようと考える場合は、壁を増やす 筋交いを増やす そしてそれを金属で緊結するのが
セオリーである。 ここに幻想郷の場合は、建造物に魔術を施すのだが、この魔術の正体が問題だ。


そもそも建造物の劣化を止める魔術などコストが高くて使い物にならない。
劣化を進行させるのは様々な自然的要因だったり、シロアリやキクイムシといった害虫による被害もある。
これらは、建物を自然に帰すために必要な機能であり、これに対して何かするのは実は難しい。
では実際問題としてどのようなことをしているのか。


建造物にも詳しいヤマメ女史に尋ねると、幻想郷における建造物補強とは、素材そのものの耐力
増強だけではなく、全体的な重量軽減に重きを置いているのだという。
所謂空を飛ぶテクノロジを利用したものだ。 これを地味に仕掛けることで建造物を必要以上に
重くしないのである。


ただし、この術も注意しないとならないのは風災に弱くなると言うことだ。
特に山のある地域においては風が吹き下ろすなんてことがよくある。
この場合建造物はいともあっさり破損するのだが、破損したときに、材料の再利用がしやすくなるように
配慮されているのだ。


最近の建築資材では合板の利用も解禁されている。そうでもしなければ、必要以上に木材資源を
使ってしまうからなのだが、それが本当に幻想の世界で必要なのかと問われれば少々疑問である。
とはいえ、背に腹は代えられないので、顕界の資材でも何だかんだ利用するようにはなっている。
結構頭が痛い話である。


さて、何故こんな話をしたかというと、幻想郷の木材を顕界に輸出すべきではないかという意見が
顕界の側から出ているのだ。幻想郷の木は樹齢も長いし、よく整備されている。
ただ、これをOKと言えないのは過去の件を考えれば当然だし、そもそも幻想郷も資材不足に
陥っている事実を知っていただく必要がある。
なかなかどうしてうまくいかないものである。