□月 ●日  No2107 お風呂に入るだけですが


八雲商事現地法人には風呂がやたら完備されている。
実のところ幻想郷の風呂は一般の風呂とかなり違う上多くが公衆浴場であるため、
女子社員の天敵となっているのだ。


洗濯した服に着替えることもままならないため、現地基地でどれだけ身体を綺麗に出来るかに
全てが掛かっていると言ってよい。
そのためかどうかは知らないが、八雲商事の社員寮には、全室シャワールームとトイレが一体化した
ユニットバスルームが設置されているのだ。
これが色々助かるアイテムだったりする。


幻想郷のお風呂というとおおかたサウナの類が主流であり、湯を浴びるというのはなかなか厳しいものがある。
もちろん五右衛門風呂というものもあるがこいつは水仕舞いがあまりよろしくない。
使った後の排水処理が些か面倒である。かといって水を捨てないとたちまちボウフラが涌いてしまう。
次の日はヤブ蚊に苦しめられることになるだろう。
幻想郷においては蚊が病気を媒介することが多く見られるので、水の廃棄も結構重要だったりする。


ちなみにこのユニットバスルーム、幻想郷に運ぶ時は結構揉めたらしい。
ユニットバスルームを使うには、バスルームだけではなく、貯水槽と給湯器などを完備しないとならず
給湯器を持ってくるにはプロパンガスボンベを持ってこないと駄目だとか、色々と面倒なことになったのだ。


また排水もきちんと処理しないとならない。シャンプーなどをそのまま幻想郷に流すわけには
いかないので高度処理槽も幻想郷に持ち込んでいる。
さながらインフラ丸ごともってきているようなものだ。


今ではガス会社が幻想郷の内部まで運ぶことが可能だが、これも現行法の絡みなどで色々難しい。
幻想郷にガスボンベが供給できるようになったのは、プロパンガスのシェアが落ち始め、新規顧客
獲得の為にガス会社が妥協したことだというのだから驚きである。
その代わりガス代金は結構高額だったりする。値下げ交渉はしているが。


それにしてもこのシャワーボックスにいると顕界で当たり前と思っていたもの維持するのは実に
大変だと思う次第である。