□月 ●日  No2147 保険ははいりましょう


八雲商事にはいろいろな人がやってくるが、保険屋さんもその一人である。
健康保険やらいろいろな保険が妖怪だと国で保証できずに任意保険になるからである。
保険のメリットを説明するのは些か大変だと思いきや、大体の妖怪は強力な妖怪が入っていると知るや
概ね右へ倣えする。それが個人的には何とも意外に見える。


妖怪は保険に入らなくていいというのは偏見である。
彼らだって病気になるし、薬を服用しないといけない場面は色々ある。
交通事故だってありうる。
特に財産を守る保険関係は妖怪も必要であり、たとえば災害対応の保険とかは
妖怪のほうが人間よりも加入率が高いのだそうだ。たぶん長い寿命の間に
沢山の災害に遭遇しているからだろうという話である。


妖怪用といっても基本的なルールはほとんど変わらない。
最近はインターネットで保険契約をするのだそうで、妖怪も人間もへったくれもない。
いいところ健康保険に年齢制限がない程度だが、これは年を召して大病になる心配がないからである。
その点で保険やさんもなかなかやるなと思う次第だ。


ちなみに妖怪の間では掛け捨ての保険が基本的に人気である。
貯蓄型を用いる妖怪はあまりいない。どうも妖怪たちはタンス預金を好む傾向があるらしいが
最近は守護している銀行にお金を預けるという半ば総会屋みたいな関係も見て取れるらしい。
しかし、銀行で保護される預金には限りがあるので、結局はタンス預金になることが多いとのこと。
大体の妖怪は途中で起こるインフレで得たお金を目減りさせているのだそうで
色々な意味でもにょる次第。


保険の勧誘員が八雲商事に出入りするのはいいが、
決して特別安い訳ではないらしい。そこがいろいろな部分で残念無念である。