□月 ●日  No2387


霊能局の歴史は我々がマルハチと呼ぶ八雲商事よりもはるかに古い。
我々の活動を紐解くと実に1000年以上前から活動の記録が存在していることがわかる。
その中でも、蓬莱の薬を服用した娘の争奪戦を紹介したい。


当時、大陸から大船団を用いて我が国に攻め込んだ軍隊があった。
彼らはいったい何を狙っていたのか当初は資源や金であると考えられていた。
だが、本当の目的は別のところにあったのだ。彼らが狙っていもの。それは蓬莱の薬の服用者であった。
大陸からやってきた多大な軍隊は壮大なおとりだと言うのである。


実のところ、蓬莱の薬の服用者を襲おうという意図は大陸の工作員にはなかったようだ。
薬の効果がわかれば当然開発者も服用していると考えられていたからだ。
この段階で蓬莱の薬の服用者は確実にこの大陸の侵略者に協力することが見えていたという。
彼女は蓬莱の薬を服用したことを後悔して居るところまでつかんでいた。そして蓬莱の薬をもたらした姫を
確保すればよいと考えていた。蓬莱の薬の服用者は彼女を容易に売るであろうと考えたのである。


大陸の兵たちは彼女を血眼になって探したが、この段階で不老不死になった彼女を
狙う人間が一人ではないことを完全に失念していた。
蓬莱の薬の服用者はすでに人間を信用しなくなっていた。信用してくれる妖怪たちとのコネなど
大陸の工作員には持ち合わせていなかった。
大陸の工作員はとても困った。人質を取ろうにも縁故の人間はいないし、周辺を焼き討ちしようにも
それに怒りを覚える性格でもなかった。おまけにそのような行動をすることは妖怪たちを余計に
離れさせる結果となったのだ。


派手なことをすれば当然すべてが発覚する。大陸の工作員は我々の手によって
一人また一人ととらえられていった。
結局彼らの目的が解ったときには、大船団は台風によって勝手に壊滅していた後だった。
今にして思えば、蓬莱の薬をつくったというあの月面人とのバーター取引が成立していたのかもしれない。


このように我々霊能局は、あの当時から起こる怪異に対して様々な対処をしてきたのだ。
そしてそれは今も続いているのである。