□月 ●日  No3022 家賃は云うほど安くない

 妖怪アパートなるものがこの世には存在する。最近シェアハウスが流行っているのだが
 それに似たような仕組みのもので、手軽に手に入る住所ということで妖怪でなくても
 利用している者は多い。


 このアパートのすごいところは払う家賃に応じて広さが変わるということだ。
 最悪になるとトイレや風呂が共用になるのだが、それでも住所があれば
 生活保護だって受けられるようになるので、みんな有難がっている。


 もちろん制約もある。穴を開けるような行為はいかなるものを持ってもダメ。
 画鋲などもダメだし、配線を通すにも穴を開ける行為は禁止だった。
 最近では携帯電話や無線通信機器の普及でその辺の問題も概ねクリアだ。


 照明とテーブルコンロのたぐいを買ってくればとりあえず住めるので
 かなり人気である。そしてこの妖怪アパートが本当に人気である理由がもう一つある。
 完全に異性禁制にもできるのだ。追い出し機能もきちんと付いている。
 様々な心霊現象を起こして相手を追い出すのだそうだ。
 これは泥棒相手にも効果がある。へたな警備会社よりも頼りになるだろう。


 でなんでこの話をしたのかってことなのだが
 この異性禁制が正しく働かないと、管理人から相談を受けたのだ。
 何でも異性じゃなくて同姓がだめになるんだとか。
 よくわからないがそれなら家族向けにすればいいのではってことなのだが
 その理由を知りたいという。


 まあ、大体妖怪アパートが見たくないものを見ちゃったのだろう。
 性癖はノーマルというからな。