■月 ●日 No5102
「で、なんでここが射検場になったんですかねえ。」
「なんでもこの建物を処分するのに一緒に弾幕をぶっ放すんだってさ」
研究員らしき人たちがそうした愚痴をしながら、射検用リローダーに
廃棄予定スペルカードをセットしていく。
「はいはい、サイトウくん、愚痴らない」
朝倉が手を叩きながら急かしている。
幻想郷にあるとある一角にその建物があった。
細かく偽装されていたが、ゆえに幻想郷では用意できなさそうな
いや普通の住民には用意できなさそうな建築物だった。
それを囲むように大量のリローダーを配置していく。
それはまるで、建物を破壊するためと言うより
もっと別の意図があるように見える。
「発射、30秒前」
「スペルカード発動開始、シールド効果は切らさないように」
「総員身代わり呪符をセット」
「弾着 今」
建物の消滅と共に、現れた巨大な影は
次の瞬間、次弾で用意された高火力スペルカードの前に消え去った。
「うわぁ、もったいねえ」
研究員がたちがそんな愚痴をしていたのを朝倉は呆れた表情で
眺めていたのだった。
もっとも巨大な影はそれなりの抵抗は見せ、身代わり呪符も3層程度破壊されたが
その程度といえばその程度だった。