■月 ○日  No427 行方不明者捜索


京都大学在籍の要注意人物二人がうちの会社に押し入った。
うちの北白河を頼ってやってきたらしい。
暴れられると困るので北白河と一緒に話を聞いたら、自分の後輩を捜して欲しいという依頼だった。
うちの会社は人捜しなんてやっていませんと返すつもりだったのだが
その人の顔写真を見たら動揺を隠すだけで精一杯になった。


対応に困ったので上司に助けを求めたらボスは休みである。
仕方なしに朝倉に相談を持ちかけてみたら案の定「面白そうだから手伝ってやりなさい」と言われた。
探している人の居場所はわかっている。
要するに諦めさせるために探すのを手伝えというのだ。


事情を詳しく聞くと、その後輩といなくなる前日に電話で話をしたという。
引っ越しすることになったことと、連絡が通じないこと
それから他愛のないことを延々も喋っていたらしい。
次の日いつまでたっても登校しない彼女の様子を見に行ったら
家がきれいさっぱりなくなっていたばかりか立ち入り禁止になっていたらしい。
これでは探してくださいと言っているようなものだ。


お陰で丸一日ふたりの足がわりにされた。
燃料代やお昼まで経費で払った。 あの二人は遠慮というものを知らないのか
平気で高い物ばかり注文して泣きたくなった。


夜も更けてきてさすがに二人を返すことにした。
自宅まで送っていこうとしたら、二人組の黒い方の電話が鳴った。
その電話の主は探していたあの後輩であった。
二人は安堵の表情を浮かべてそれぞれの家路に就いた。
彼氏と間違えられるので遠くで止めてくれと言われたのには泣けた。



帰社したら朝倉と北白河に「時間稼ぎご苦労」と言われた。
ひどすぎる。