■月 ○日  No426 予想はしていたのだが


例の神社のおねえさんから色々と注文が来るようになった。
一つ言えることは外の世界に染まったカミ様というのはなんとも始末が悪いという
当たり前の事実であった。


これまでは、幻想の住民がほしがる物を推理しないといけなかったのだが
このおねえさんはメーカー名から商品名まで指定してくる。
ある意味ありがたいが、幻想郷に持ち運びできない品々を説明するのに
とても苦労する羽目になった。
魚毒性の問題については、心当たりがあるらしくすぐに納得してもらえたのだが
そのほかの品々については、ひとつひとつ説明しなければならず
説明だけで小一時間を要するものもある始末だ。
おねえさんは不便すぎると文句を言うが怒った様子がないのが救いである。


正式な手続きで幻想郷行きになった人は幻想郷でも暮らし方をレクチャーされ
幻想郷の暮らしに慣れるまでの移行期間も用意されるのだが
ここの神社の住人はそうした心構えがなかったため、結構苦労していたのだなと
いうことが注文内容からもわかる。


そんなおねえさんがジャンクフード店のハンバーガーをくれと
騒ぎ出した。 検査がいることを伝えると、そんな程度で大きな問題にならないと
とりあってくれない。 冴月を呼ぼうかとも思ったがなんか話が複雑に
なりそうなのでやめた。
里香女史に話をしてどうにか幻想郷に持ち込めるハンバーガーを割り出して
それを材料で入荷し、列車内で調理、専用の容器にいれてどうにかこうにか
境内に運び出した。 中のハンバーガーはしわしわで見るも無惨だった。
雷が落ちるかと思ったら目の前におねえさんがいない。


彼女はまな板と包丁を取り出して小さく小分けにした後
立ち上がれるくらいに回復した自称現人神に与えていた。
ふたりが幸せそうな顔をしているのを見て、良かったと思う反面
これからもこういうことが続くのかと思って気が重くなった。