□月 ★日  No589 団体さん進入


中間管理職狐の職務怠慢のためか幻想郷に団体の侵入者がやってきた。
妖怪たちの餌にするには多すぎるし、何より組織的行動をとっている。
数日前から妖怪たちのけが人が多発しており、網をかけて待ち構えていたら引っかかった。
私はもちろん後方支援である。 それ以上のこともできそうにない。


魂魄や冴月たちが配置につくまでの間に、邪魔となる妖怪たちの排除を指示された。
事情を知らない妖怪たちは侵入者を驚かせてやろうとかいたずらをしようと話している。
そういうのが通用する人種でないことを説明するのだが、抜け駆けして遊ぶ気だろうと
言われて納得してもらえない。


そうこうしているうちに妖怪たちにけが人が出た。 
普段から弾幕に慣れ親しんでいるためか大事には至らなかったが、二人同時に攻撃してきたと
怒りの声を滲ませている。 スペルカードのルールを知らないのかと私に抗議する始末である。


一方遠くの方でも恐怖が入り交じった怒号が聞こえている。
我々の国の言葉ではないのでいったい何を話しているのかは今いち見当がつかないが
まともな連中ではないことは確かだろう。
朝倉からセーフハウスに身を隠すよう指示されて、指定された道を進みながら歩みを進めた。


幻想郷へ団体で神隠しに遭うケースはきわめて希である。
件数もきわめて少ない。 私の知る限り畝傍艦のケースをはじめとして数えるほどしか報告もない。
こうした場合はおおむね故意の進入を疑う。 何かしらの要因で幻想郷への安定した入り口が
確保されてしまったのだろう。
その後やってきた連絡を総合すると盗掘屋の一味みたいである。


妖怪は思ったよりも軽傷で済んだ。 
時間をつぶしていたら、こちら側も組織化された軍隊で戦うことになったと連絡が来た。
ライブカメラをみてみると現代戦を習得した白狼天狗がラブリーな外見で軍隊調の台詞を喋っている。
白狼天狗たちは、スペルカードを持たない。あくまで敵の制圧に特化した行動をとることができる。
数分の銃撃戦の後、「食べられる人間だ」というルーミアの脳天気な言葉がこだました。


魂魄に話を聞いたら面妖な攻撃ばかりしてくる妖怪たちが銃撃戦を仕掛けてきて混乱したらしい。
哀れな盗掘屋はその後どうなったのかは、口の周りにおべんとうをつけた妖怪たちの満足な表情を見れば
一目瞭然だろう。 生かして返す義理はない。


ちなみに進入された原因は中間管理職狐が結界を修復したとき、養生が終わらないまま橙が結界を
いじってしまって補修箇所が崩壊したためらしい。
中間管理職狐が隙間妖怪に電気あんまの刑に処されたそうだ。 春先だったことが災いした。
そういえば隙間妖怪復活の時期だ。 また憂鬱な日がやってくる。