河童が故障した洗濯機を修理している。
中を見ると真っ白になったモーターとプロペラが覗いている。
どうやらカルシウム分が付着して故障の原因となっているようだ。
幻想郷では基本的に川の水も飲めるし、井戸水も基本的に安全である。
従って、水を浄化しないでそのまま電化製品に使うため水を扱う電化製品の故障率が極めて高いのだ。
その都度河童が修理するのだが、部品が足りずにしばしば難航する。
ところが河童から部品を請求されてもたいていの場合メーカーが部品を在庫に持っていないため
希望通りの商品を送り届けることができない。 ジレンマである。
うちの事務所では水栓など水道用品の部品展開図が保存されている。
先日も某水道用品メーカーが経営譲渡によって消滅すると聞いて大慌てで部品を取り寄せた。
これで数年はねばることができそうだ。
水道の蛇口を直すのも、実際のところはパッキンや混合カートリッジを交換しないといけない。
そのため、パーツがなければ満足な修理どころか悪化させることもしばしばである。
霧雨のご息女が修理したという水栓を修理し直すことも多い。
彼女は水漏れが起こったらとりあえず水栓のネジを閉めればよいと思っている。
実際には、閉めすぎると給水管を痛めて余計に水漏れが起こる場合がある。
フォローする河童の身にもなってほしいものだ。
本当を言うと霧雨のご息女には言いたいことが山ほどある。
水栓を交換するときに何も考えずに新しいものと交換すると、既設配管中に付着していたさびが
詰まって水が出なくなる。 香霖に頼んでいろいろと指摘してもらっているがいっこうに直る気配がない。
朝倉が一度トラブルを起こして痛い目に遭わないとわからないと言っていたが
やっぱり過保護なのだろうか。
ちなみに紅魔館の水栓は欧米製である。 我が国の水栓と違い修理前提でブラックボックスが少ない
設計になっており扱いやすい。
パーツ類もメーカーが潤沢に用意してくれてるのでこの辺の心配はない。
うちの国も見習ってほしい者だが、里香女史に修理が無制限にできたら新しいものを買ってもらえなくなると
言われた。 言われてみればそうだと思う。
部品は不足しがちだが、どうにかこうにか動くところまでは回復する河童たちにはとても感服する。
かくして幻想郷に配備されている水道の平和は守られているわけだ。
幻想郷の住民は河童たちに足を向けて眠れないだろう。