□月 ●日  No823 あの二人がかえってきた


幻想郷の妖怪たちは基本的に積極的に関わり合いたくない連中ばかりである。
仕事でもなければ基本的にはお近づきになりたくないと言って良い。


そんな妖怪たちの中でも特に始末が悪い存在がデーモンたち。
ただ個人的にはデーモン達は幻想郷の中ではまともな連中だと思っていた。
紅魔館の司書さんは至って普通の人だし、魔界にいるデーモンの皆さんとは
割とまともに付き合っている。


だが今回の客はデーモン族の中でも極めて始末が悪いと言われる姉妹である。
名前は「夢月」と「幻月」姉妹。
危険度スコアはデスマシン妹君に匹敵。というより同じスコア。
「可愛い悪魔」と異名を持ちあの魔界神すら手を焼くくらいの代物なんだそうだ。
応対しろというのか。
戦闘になると冴月とか朝倉でないと手に負えないらしい。
要するに戦闘になれば私の生涯終了といっていい。
このままでは殺されるから助けてくださいと泣きついたら応援を寄越すと言われた。
それくらいの相手だとも言える。


実際に会ってみると三月精とあまり変らず驚く。
しかし、体は常時歪んで見えるし、誰が見ても危険極まりない。
渡すものを渡して帰ろうとすると、私にどれくらい強いのかと尋ねられたので
とりあえず、妖精未満ですので返してくださいと答えておいた。
ところがどうもそれが気に入らなかったらしく、いきなり喧嘩をふっかけられてしまった。


そこで分かったことだが、どうやらこの姉妹、かつて月面戦争に赴こうとして
居残りを喰らったというのである。
彼女たちにとって月面は自分の名前を冠した土地である。 だからこそリスクがあると
考えられた可能性は高い。万が一月側に寝返ったときは最悪の存在となるからだ。
だからといって私に八つ当たりされても困るのだ。
通信でとにかく援軍をくれと頼んだ。 来なければ確実に死ぬ。


するとやってきたのは月にいたあの人だった。
朝倉が用意した援軍は綿月妹のほうだった。 確かに彼女ならまともに戦える。
月人と戦いたかったらここでやりあえばいいというのである。


依姫に物陰に隠れろと言われたので言われたとおり身をかがませて事のなりゆきを見学する。
さすが月の民。 誰が見てもデスマシン妹君に匹敵する多量で高速な弾幕を悉く
無効化してしていた。
30分ほどの戦闘の末とりあえずなんとか二人を黙らせた。
姉妹は満足してくれたからとりあえずいいか。


あとで依姫から悪魔どもがつきまとってたいへんだという連絡がきた。
なんでも師匠と言ってあがめているらしい。
因幡印のうさみみキットなるものを買ってブレザー兎と一緒になりたいそうだ。
いずれにせよ勝手にやってろと思う。




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