□月 ●日  No828 メディ 薬屋と癒着する


メディスンといえば鈴蘭畑にいた人形に命が宿った存在と言われる。
行動そのものは危険極まりないが、邪気がない分無害である。
最近では人形が動く程度では全く動じなくなっている自分が悲しい。
恐らく、ヴィヴィットやルーコトとかを見ていたせいで慣れてしまったのかもしれない。


薬屋での修行の結果、彼女もなかなかの薬剤師になったようだ。
彼女は今まで毒を毒としてしか利用できなかったが、毒が持つ薬としての効能に
気づきつつあるようだ。
彼女に専用の取引先コードがついた。メディスンがうちの会社と取引できるようになった
証でもある。


とにかくメディスンの薬屋としての知識はなかなかのレベルだ。
薬屋に聞いた話によると、まるでスポンジに水を含ませるように医学書をあっという間に
覚えてしまうらしい。 最近では紅魔館に侵入してノーレッジ女史から本を借りて
読みふける毎日だそうだ。 しかも霧雨のご息女と違いきちんと本を返すから
なおのこと気に入られているらしい。
もちろんノーレッジ女史の狙いはもっと別のところにある。
喘息の治療である。自分で喘息の治療術を学ぶよりは、薬に精通したメディスンの
知識に頼った方がずっと効率がいいのだ。


薬屋の生活が最近苦しくなっているのも実はメディスンの存在が大きく関わっているようだ。
実は薬屋は薬のお金で生計を立てている。診療台は殆ど無料として、薬代に診療代を
上乗せしているのである。 これを薬価差益という。
そこにメディスンのお店が出来たわけだ。 安価で高品質なメディスンの薬はよく売れた。


メディスンは商売の基本についても吸収が早かった。
粗利や経常利益の概念もすぐに理解して見せた。
おかげで双方の利益を比較しても差が大きい。
ところがメディスンには薬屋に薬の使い方を教えてもらった恩義があるようだ。
なんとかならないかと相談してきた。困った話だ。


朝倉たちと相談。 薬屋にバックマージンを支払う方向で調整することにした。
しかしバックマージンを支払っても薬の値段の差が埋まらない。
とりあえず薬屋の帳簿を精査してみる。すると金額がおかしいことに気づいた。
見つけたのは私じゃなくてメディスンだが。


原因となった詐欺師兎がどうなったのかは知ったことではない。