□月 ●日  No867 幽幻魔眼


幽幻魔眼の話をしよう。 目玉型の巨大式神である。
所謂AIと呼ばれる代物で元々は隙間妖怪が変態相手に戦うために生み出した戦闘用式神という奴だ。
このノウハウが中間管理職狐に生かされているわけだがそれは別としておく。
このAIの仕事は、妖怪に変態の力で対抗してくる人間に
「このロリコンどもめ」と言って対抗する代物だと言われている。


こいつがよりによって博麗の巫女に牙をむいたというので、隙間妖怪に封印されたってわけだが
そいつをうちの技術部がひきとってAIにしているのだそうだ
こんな廃品回収みたいな式神、一体何の役に立つかと思っていたが
風見女史が使っていたスペルカードに幽幻魔眼の姿を見つけてお茶を吹きそうになった。


あの巨大な目玉に股間を凝視され、あの台詞を言われればかなりのダメージを与えられるらしい。
風見女史も結構重宝しているそうだ。
私は言われても何とも思わないのだが、技術の人間とか二次元で生きたいとか言っている奴には
効果覿面だそうだ。 なんだかなあ。


何故こんな話をしたのか?
隙間妖怪が久々に私に話しかけてきたからだ。 本気でドキドキしたのだが
なぜか幽幻魔眼に何をしたのかという内容だった。
一体何が起こったのかわからなかったのだが、幽幻魔眼の挙動が不審なので確認して欲しいという内容だった。


私の手に余るカードなので、朝倉に相談したら調査を快諾してくれた。
実行すると、あの巨大な目玉が出現した。 奴から出た言葉に耳を疑う。


「たまにはロリコンもいいよね」


一体何が起こったのかと思った。 幽幻魔眼が解析されてプログラムコードが
書き換えられてしまったとしか思えない代物だ。
朝倉は式神のデバッガを開いて原因を探っている。
脱力した隙間妖怪、傘を落として固まっている。


結局改変された式神はコードがぐちゃぐちゃにされていて
隙間妖怪にも朝倉にも読めなかった。
他人が書いた式神の式を読むのはある意味拷問である。
だが、根本的な部分の改変は無かったので風見女史にテストして貰った。


結局、風見女史に言わせれば素晴らしい改良とのこと。
先の台詞を変態どもに言うとたちまち恥じらうらしい。
隙間妖怪はその場で卒倒して、みんなで運ぶ羽目になった。
私も卒倒したかった。