□月 ●日  No898 最強(あたいという意味で)の魔法使い 朝倉理香子


身近にいながら謎が多い上司「朝倉理香子」
幻想郷にいる魔法使いならば知らない者はいないほどの人物であることは知っていたが
風見女史から化け物呼ばわりされたときは少々驚いてしまった。


冬場でも風見女史の仕事は休みではない、
むしろ冬はエネルギーを備蓄する大切な時期でもあり
忙しい時期でもあるのだそうだ。 そんな彼女が最近自分の直属の上司が朝倉だと知って
色々驚いていたというのである、 「よく生きている」という意味で。


曰く幻想郷最強の魔法使い 曰くスペルカードシステムの仕掛け人とは聞いている。
河童からは尊敬されているが、私の知る朝倉というのはただの濃い人物程度の認識でしかない。
しかし風見女史から言われた彼女についての評はこうだ。
「スペルカードシステムを利用している限り彼女に勝つのは難しい」と言う。
要は首根っこを押さえられたような状態だと言うのである。


かつて彼女が異変に参加したときもやたらリミッタをつけていたことも知られている。
ピコぽんハンマーも彼女なりのリミッタだと技術部から聞いたが
風見女史に言わせると彼女の能力でもっとも脅威となるのはエミュレーションモードと言われる
様々な能力を魔力で力づくで真似することだそうだ。
以前、メトセラ娘のスペルカードを実行する朝倉の姿を見たことがある。
元は地霊殿の主人が使っている能力の発展系と言われているが
それのどこが問題なのかと尋ねると頭の悪い答えが返ってきた。


自分のコスチュームの真似をされるというのである。
地霊殿の主人は頭の中に相手の思考を投影することでコピーすることができるが
朝倉がより再現度を高めるために外見までもコピーするらしい。 あの白衣になにか仕掛けがあるのだろう。
このとき自分がセンスの悪いところと思っているところまで再現されるのが痛いらしい。
私も氷妖精の衣服を朝倉が着たときの姿を想像して酷い頭痛と胃痛に見舞われた。
ガストロームを飲む回数が減っていたのにまたリセットされそうな勢いである。
もしかして、よく生きているという意味はこの意味ですかと尋ねると、
風見女史は無言で頷いた。


コスチュームを真似することは謂われをコピーすることであるから一応道理に適っている。
がしかし、着ていい服装と悪い服装がある。
風見女史はかつて数度朝倉と戦ってまともに戦えなかったと言っていた。
一体何を着ていたのか尋ねると。


最初はブレザー
次に赤と藍の服
そして最後は
しかも微妙にサイズが合ってないというのである。
想像して二人で悶絶する。


ブレザーと聞いた時点でだいたいの見当がついたとは言え
一つだけおかしな点に気づいた。 何故彼女は月の衣服までもコピーできたのかということだ。
だがそんなことはどうでもいい。
とにかく彼女のコスプレを見たらまずは目を閉じて平常心を保つ必要があるということだ。
弾幕に当るかもしれないが精神的ダメージに比べれば幾ばくかマシというものだ。