□月 ●日  No899 幻想郷と神前結婚式


数々の物資を運び続ける八雲商事。 実は八雲商事にも苦手と言える代物がある。
それはブライダル用品である。 
ところが最近これら商品を納品する機会が増えた。送り先は例の神社と紅魔館である。


実は幻想郷では結婚式のシステムにかなりの隔たりがある。
その話になったのは浅間と北白河の話から、ウエディングドレスにあこがれるという二人に
朝倉がウェディングドレスって何でいるのと真顔で聞いてきたからだった。


幻想郷の場合、強いて言うなら両家で酒を飲み交わすのが結婚式である。
ハレの畳位置と周囲の雰囲気から結婚式だと言うことが分かるといった具合だ。
誓いのキスとんてことはしない。
旦那が亡くなって速攻再婚する妖怪がいるのも頷ける。
永久の愛を誓うという概念がそもそもないのだ。
宗教が生活に深く根ざした西洋と違い、手を合わせてアーメンというようなカオスな信教の幻想郷である。
当然何かに誓うという考え方もないのだ。
何も知らない人が見たらふしだらなシステムだと思うかも知れない。
実際顕界からやってきた人たちはそれでは困ると言っている。


そんなこんなで例の神社は神前結婚式をやっているところが無いところに着目
博麗神社がやらないならうちでやるとばかりに結婚式場提供を始めた、
お陰で最近はそこそこ以上に収益が上がっているという。
実は例の神社にいるおねえさん 八坂様は縁結び関係でも名が知れているのだ。
道理でテキパキと式場設営ができるなと思っていた。


紅魔館ではロケットお披露目会で使用された会場を借りることができるらしい。
ただし借りるにはヴァンパイアの主人に気に入られないといけない。
ハードルが高いように見えるが意外と低いらしい。
そういう話題には主人も寛容というわけか。
試しに自分も借りられるかと尋ねたら、その前に相手がいなければ無理と言われた。
人が気にしていることを。


博麗の巫女も同じ事をやればいいのにと思ったが、ボスから彼女は結界維持が優先だから
あまりこき使わないで欲しいと言われた。
何となく微妙な気分になった。