□月 ●日  No1142 海外の妖怪を見て思う


幻想郷の妖怪が実は恵まれている。
俄に信じられないことだが、米帝から帰国した冴月から他国にいる妖怪たちの現状を聞くと
あまりの落差に驚くことだろう。


米帝にも妖怪がいることは知られているが、経済的に成功した妖怪たちがいる一方で
ミュータントと呼ばれて差別されたり研究所で理不尽な実験をされているケースも散見される。
我々の国の場合なら、カミとして祀られるような者までこの有様だ。
そもそも歴史が短い移民の国であるが故の現象であるが、チャンスも一緒に転がっているので
破綻するほどの問題ではないという。


米帝の妖怪は我が国以上にひっそりと暮らしているケースが多い。
市民権さえ取得すれば人間と同じ生活が保障されるからである。
妖怪の暮らしをして食うや食わずの暮らしをするくらいなら、人間に溶け込んで
税金を払って普通に暮らしたほうがマシという理屈だ。


そんな妖怪が幻想郷に足を踏み入れるとどうなるか。
ほとんど顕界の人間と同じ扱いとなって結局は幻想郷から脱出してしまうようだ。。
人間に同化しすぎた妖怪は人間と同じであり、結局文明の力を享受しきっているため
幻想郷の生活に馴染めないのである。
実際、人間だと思った妖怪が米帝の者だったケースは数件出くわしている。


大師様が聞いたら嘆くだろうなと思っていたら、朝倉がある意味人間と全く同じだから
理想郷が実現したと思って感動すると言っていた。
なにを持って幸せとするのか。 とても難しい話である。
少なくても妖怪が妖怪らしく生きることができる今の幻想郷の方が幾ばくかマシと
信じたいところである。