□月 ●日  No863 米帝の新参妖怪


幻想郷には至る所から妖怪たちが集まってくる。
こいつらに語学を説明するのはまあなんとかなる。
だが経済観念を説明するのはとてつもなく大変だということが今更ながらわかった。


それは米帝からやってきた妖怪たちの話。
幻想郷の為替システムと米帝の小切手システムはかなり酷似しているので説明を端折ったら
お金がないのに為替を発行してしまい不渡りを起こしてしまった。
普通に考えれば常識外れのことなのだが、この常識が通用しないのがあっちの国だということが
今更分かったわけだ。


実は米帝では預金がなくても決済は出来てしまう。
カード支払いを例にとると、我が国では預金が残っていなければカード決済ができないが
米帝では後で小切手払いが基本なのである。 
全所得の倍くらいが借金なんてことも別に珍しくないそうで、それがあそこの国の経済を
支えてるというのだからたまらない。
さらに驚くべき事に、米帝では債権不渡りを数回起こしたという理由では倒産扱いにならない。
思わず、ため息が出たが考えてみれば国が変ればルールが変るのも当然で
それが顕界の中でもそうだったに過ぎないとも言えるだろう。


結局どうしたのか?
ボスに事情を説明して一時的に債務を肩代わりし、働いて返すことで処理することにした。
何故為替が使えなくなったのか、米帝の妖怪さんはあまり理解していない様子だったが
こういうルールだから従うようにと強気で当ることにした。


幻想郷は基本的に我が国の経済ルールが土台となっている。
さすがに幻想入りしたすなわち廃れたルールが土台になっていると色々と問題になるともいえる。
北白河が幻想郷を貯蓄社会と呼んでいた。 これは我が国のシステムと殆ど同じと言えよう。


まったくもって米帝の経済という名の妖怪はとてつもなく始末が悪いと感じ入る日だった。
これではいつか破綻するのもむべなるかなと思う一日であった。