□月 ●日  No1174 命蓮寺仮オープン


大師様の住処 命蓮寺が仮オープン。 資金力にあかせた超突貫工事でほぼ完成にこぎ着けた。
仮オープンだけに中の構造物は単純に作られているが。建具類なども続々入っており大工衆たちにちょっとした
特需景気を生んでいる。 うちの会社も影響力保持のため多少お金を出したそうだが、
色々なところから出資があり、自称現人神がいる例の神社や博麗神社とは違うタイプの建造物に仕上がりそうである。


大師様の発想が古すぎるため、建造物の知識を教えるのに皆で手間取った。
寅さんは参拝客が使うためということでトイレを配置しようとしたのだが、意味がわからない大師様は
なぜここに建造物を建てるのかと食ってかかった。 
ここで用を足すと言われても、なぜ座るのかとか、砂だけあれば十分だろうとかこんな調子である。


ナズ軍曹から相談を受け、最新の住宅設備というものを大師様に体験して貰うという企画を発動することにした。
場所は例の神社。 おねえさんが神無月で糞忙しいのに空気読めと抗議の声を上げたが知ったことではない。
自称現人神とケロちゃん帽のカミは割とノリノリだったので決行。


鎌倉時代後期の発想から最新鋭オール電化住宅の発想がどこまで通用するのか見物な訳だが。
炎のでないIHコンロを見た大師様。 人間の技術が月に追いついたとしみじみ。
あっちでもIHなのかと思ったが、あっちはあっちで違うやりかたなのだろうが炎を使わない点は同じということだったようだ。
お風呂のシステムと作法でいきなり大騒ぎ。 湯船に浸かるという発想が元からないせいだが
蛇口をひねるとお湯が出る仕組みに大仰に驚き、湯船に浸かると今度は寝てしまって溺れかかったりと大変だった。


竈もなければ水を入れる壺もない。 水は蛇口をひねれば出ると聞いた大師様。 水を汲みに行かなかったらどうやって
修行するのだと困り果てていた。 全自動炊飯器にも口をあんぐり開けて驚いていたが
一番驚いたのはやはり電子レンジのようだ。 もはや彼女にとって未知の領域である。
途中から思考停止状態に陥って、とりあえず提案者である寅さんの言い分はすべて通すと答えるのが精一杯だった。


実際金を出す方としても、竈などを作られるより炊飯器一台買って貰った方が、ずっとコストが安いという
身も蓋もない事情がある。 昔の建物を再現するより、現代技術は柔軟に採用するローハイミックスが
短納期で建築物を造るのにも有効な方法だ。


自称現人神が自分の手柄でもないのに、鼻息荒く自分の神社の分社も命蓮寺に置いてくれと言って
情報量オーバーフローで思考停止状態の大師様に承諾を貰う。 これはひどい。 かなりひどい。
ケロちゃん帽のカミ様 作戦成功とガッツポーズをとっていたのが印象的だった。


その後最新の設備の使い方がわからないということで、ナズ軍曹や一輪嬢、寅さんが偉い目に遭うのだが
それはそれである。仕方ない。