□月 ●日  No1222 こういうこともあります


景気が悪いと色々な人が出てくるもので、うちの会社にかつて当社と
取引のあった業者がやってくる。
この業者、色々と不誠実な商売をしていたため会社から三行半を突きつけ
られた曰く付きのところであった。
 

妖怪が絡む会社では特にぼったくりなどに代表される不誠実な商売を
特に嫌う傾向がある。 妖怪達は寿命が長いためどうしても長期的商売を
志向するする傾向があるからである。
短期間で荒稼ぎしようという発想はあまりない。 


幻想郷は特に謂われが大事だというのに、一度致命的なレベルで評判を落とせば
そこから元に戻すのは並大抵のものではない。
恐らく、資金的に厳しくなってうちの会社の敷居を再び跨ぐことになったのだろう。
それだけ追い詰められているとも言える。


最初北白河と私で応対していたが、今は何処と取引しているのだと
しつこくて仕方がない。 半ば営業妨害となってきたので
魂魄と明羅女史にバトンタッチする。 その内容が酷すぎた。


改めて気づいたがこの二人はかなりガラが悪い。
明羅女史は綺麗な人だがかなりきついタイプだし、魂魄に至っては
サングラスも相まって完全にヤクザそのものである。
ボスが容赦しなくて良いというので、魂魄はいきなりテーブルに脚を乗せているという
有様である。 見たら普通の人はびっくりするだろう。
朝倉が小声で「こわー」と言ってた。 朝倉は怖い者知らずだと思っていただけに意外だった。


魂魄は話すと怖くなくなるので、明羅女史が喋っているのだが、
お互いに的確に突っ込みを入れるため話はどんどん延びていく。
相手もそういう商売だから口が上手いと言ったところなのだろう。


ボスの姿を見ると、なにやらどこかと電話をしているみたいだった。
警備員でも呼んでいるのかと思いきや、やってきたのは借金取りの天狗だった。
天狗の姿を見て帰ろうとする業者。 
明羅女史がまあまあ、と言って返さない。 
これでわかった。 どうやらこの業者、うちの会社にたまに出入りしている借金取りの天狗から
金を借りてしまったらしい。 それでは取引停止になるのは当然だ。


天狗からご協力感謝すると言われつつ、業者と天狗は闇へと消えた。
明羅女史が「来年はマグロ漁船かしら」と呟いて皆がぞっとした。