□月 ●日  No1235 月の都の社会実態


月の都への貿易により月の都の社会実態などが色々見えてきている。
私自身見聞きしたことは一応社会学者たちなどにヒアリングされ
内容は月の都の研究に充てられている。


ここでわかるのは、月の都といえど完全に理想郷かといえるかというと、そうではなさそうとだということ。
無限に供給可能な資源があるため、月の都も退廃的雰囲気が漂いそうなものなのだが
それでもどうにか社会システムを保っていられるのは彼らのプライドによるところが大きい。
自らを特別な存在と思い込むことで行動を抑制する。 地上すなわち顕界の民に恥ずかしくない
行動をするよう教育されることで社会の秩序を保っているのである。


社会的停滞が起こり常勝の方向が見失われると、教育目標への変換が行われることは
歴史上何処の国でも起こるのだが月の都はまさにその通りの社会となっていたわけである。
そういう意味では人類の未来を占うのにちょうど良い場所とも言える。


もっともその節制も極端に徹底されているわけではない。我々からみれば緩いのだが、
それによって食うに困るということが起こらないからそれで十分平和が保たれる。
衣食足りて礼節を知るとはよく言ったものだ、
ただ享楽におぼれる生活も出来ないからそれが本当に良いのか分からない。


出生率は当然のごとく低い、もっとも生命の誕生すら穢れと言っている社会である。
だが、よくよく考えると極端に寿命が増えたため人口が増えれば社会システムが破綻してしまうのだ。
だから月人は穢れという理由を設けて出生率をコントロールしていたと考えられる。
これは奴隷階級と言える月兎にも言えることで、彼女たちも年々寿命が延び続けている。
鈴仙・優曇華院・イナバなんか、実年齢を聞いたら皆がひっくり返ることだろう。


お金は主に奴隷階級である兎たちに出回っている。
博麗の巫女がお金を拾ったのを窘められたのはそこに由来するのである。
月人たちにはほとんど無償で食料が提供されているらしい。
何に似ているのかとずっと思っていたが、まるで古代ローマ帝国だ。
もっとも月人たちはそこまで退廃的ではない。


結局のところ月の都は、発達した人類の社会のひとつのかたちと言えるだろう。
彼らの生活を理想化するのは甚だ疑問であり、色々と考えさせられる社会と言えるかも
しれない。 少なくても私にここで生活しろと言われたら嫌だと言わざるを得ない。