友人が大病を患ったというので見舞いに行く。
命に別状はないということでとりあえずほっとする。
会社の仕事を持ち込んでいる姿を見て、大変だなあとと思うが
自分の会社は死んでも、死後の世界で仕事を依頼される会社だということを思い出し
何とも言えない気分になる。
友人を見舞ってふと考えたのだが、自分の伝手を全力で利用すればきっと
病気も直ぐに治るのではないだろうか。
薬屋や、メディスン、朝倉、綿月、大師様あたり誰かの力を借りればここで床に伏せることも
ないだろうと思う。
そう考えると、自分はその気になれば国家元首級の医療を受けられるだけの伝手を持っているとも言えそうだ。
医者を知り合いに持っているほど安心なことはないという。
問題は知り合いと言っても、違う意味でリスクがありそうな連中ばかりだと言うことだ。
幻想の世界に行けば病気も治るかもしれない。
最悪死んだとしても、最期に会いに行くことだって不可能ではない。
しかし、それは適わぬ夢だ。幻想の技術を外に持ち込むことはまず出来ない。
自分の肉親が、大変なことになったとしても幻想の技術で治療することは禁止されている。
当たり前のことだが、実行しようとしても未然に阻止される。
物資は不足気味の幻想郷だが、オーバーテクノロジーの医療を受けられるという点では
結構役得であると言えるだろう。
北白河はどう見ても不健康な生活をしているが、お肌年齢のことは気にしなくて良いみたいだし
OBである甘粕は、90歳になっても第一線で戦えるだけのポテンシャルを残している。
黄昏酒場の有江さんは、5歳は少なくとも若く見られている。
こう考えてみると、幻想郷で活動すると少しは長生きできると言えなくもない。
ストレスで胃潰瘍になりかけても、とりあえず治せるのは間違いない。
だが、ふと思う。 私は本当に健康なのだろうか。
病院で検査を受けたときは健康すぎるほど健康と診断されたがどうも納得いかない。
そういえば、私は月の都で仕事ができるが生命活動は穢れではなかっただろうか。
あまり考えると禄でもない結論しか出なさそうなので考えるのをやめた。