□月 ●日  No1247 幻想郷的冬の過ごし方


香霖に頼まれて、天狗のところから古新聞を貰ってくる。
配布し損ねて帰ってきた新聞を一括保管しているところがあるので、
そこでくれと言うと、結構な量の新聞を貰ってくることが出来る。


寒いときには寒い熱いときには熱い幻想郷。
会社の寮は現代住宅で作られており一定の冷暖房が配備されているため
割と過ごしやすいが、会社に戻ることが出来ずに民家などに泊まるとえらい目に遭う。
そんなときどうやって寒さを凌ぐか、それが大問題である。


天狗の新聞と言えば以前もおしりを拭く紙としての利用方法を紹介したことがあったが
この時期はもっと別な利用方法でしかも大量に使う。
では何に使うのか、建物に貼るのである。


幻想郷の建造物は一般的に木造で、すきま風がよく吹いている。
木造建造物は冬の湿度低下でどうしても隙間が空いてしまうのだ。
では最初からそれを想定して作ればよいかというと甘い。
そんなことをしたら、夏に湿気を帯びてふくれた木に建物が破壊される。
そこで新聞紙を隙間を埋めるように貼るのである。
これで体感温度を大きく上げることができる。 
現代の高気密高断熱とはほど遠いがかなりマシになる。
さらに新聞紙にくるまってからその上に布団をかぶせれば効果は倍増する。


起きてぐしゃぐしゃになった紙は人間の身体から発している湿気で柔らかくなっているので
そのままおしりを拭くちり紙に転用される。
まこと上手くできているものだと思う。


魔法とか幻想入りした技術などで暖めることはできないかという意見もあるが
はっきり言ってこれらは皆コストが高くてとてもじゃないが一般市民には使えない。
失敗の可能性もあって、ちょっと暖めるつもりが家が全焼ともなれば
洒落にならない。 ただでさえ寝ながら魔法を制御するのは至難の業だ。
変な夢でも見て、制御することを忘れたら確実に終われる。


ちなみに霧雨のご息女の着せ替え魔法は、タネ銭がないと不可能だと言うことが最近わかった。
どうも霧雨店の主人からプールしたお金で着せ替え魔法に使用する衣服の代金を
賄っているという。 なかなか難儀で面倒な話である。