□月 ●日  No1371 珍しいお酒


浅間が幻想郷で珍しいお酒を手に入れたというので、終業時間にみんなで味見してみる。
今までに飲んだことのないお酒の味に皆で驚きつつ、銘柄を聞いたら「くちかみ酒」と
いう名前だそうである。 
変わった味なので、顕界にも同じようなお酒はないものかと捜したが見つからない。
顕界の酒屋さんに聞いてみたら怪訝そうな顔をされた。

幻想入りした酒に違いないということで幻想郷でそのお酒の名前を聞いたら
かなり高価なものだと判明して驚く。
浅間のお酒好きには舌を巻く。 しかもこの酒は本来宮廷用のもので
普通の人には呑むことが出来ないのだとか。 


これはなにかお返しをしないといけないなと思いつつ、
どれくらいのお返しが適当かということでお酒に特に詳しそうな「怪力乱神」の
鬼の姐さんにそこのところを聞いてみた。
すると、このお酒の出所が判明した。 想像を絶する内容に思わず胃の中が
ぐるぐる回転しだした。


このくちかみ酒 なんと米を人間が噛んで発酵させる代物だったのだ。
くちかみとは 口 噛み という意味だったわけだ。
うまい酒なら独り占めしそうな。浅間の奴がみんなに振る舞った理由が判明した。
一人で呑むのはちょっと気が引ける。


何とも言えない気持ちになって魂魄にそこのところを話す。
彼もくちかみ酒を呑んだ一人だったからだ。
彼の反応次第で浅間への反応を変える。
すると魂魄はくちかみ酒の正体を知っていたようだった。
そして、彼の発言は更に斜め上を行っていた。


くちかみ酒 それは米を人間が噛んで発酵させるお酒である。
薬屋とか永遠亭の姫様とか大師様が現役?時代の時は割とポピュラーな酒である。
問題は誰が米を噛んでいるのかということだ。
浅間が持ってきた徳利から噛んだ人は特定された。
野郎が噛んでいたら浅間を問い詰めようと考えていた。


それでどうなったかって?
そのお酒の争奪戦が社内で始まった。
並の妖怪すら太刀打ちできない若くてとびきり美人のおねえさんが
噛んで発酵させたお酒だ。
最後は弾幕まで交えた大争奪戦になった。


浅間は酒の価値に驚いて、得意げになっていた。
彼女に真相を話さない方が良いと思った。
それにしても、お酒を奪い合った連中。
女子社員の冷たい視線を受けつつ、最後まで立っていた
男性社員の手に渡ったという。
これだから変態どもは。