□月 ●日  No1402 好きなジャンルはホラーもの


嫉妬妖怪と言えば地底世界の案内人として結構有名な存在である。
事務的に対応するには彼女ほど無難で無害な妖怪はいないかもしれない。
嫉妬深い妖怪として有名だが、どちらかというと退屈と孤独の裏返しであり
そこのところを突いてやると面白い反応をする。


というわけで、うちの会社としては暇つぶしグッズを配送することが割と多い。
ここで分かるのは嫉妬深さが半分ポーズで半分空想家であることに起因することである。
橋姫は人間の発展にも寄与する時があると朝倉に聞いたことがあったが、
なるほどそれは空想が生み出す賜物であると言えそうだ。


暇つぶしグッズと言ってもパズルの類はあまり得意じゃないらしく、
モノクロバックライトの携帯用のゲームを与えたこともあったが
あまり反応は芳しくなかった。
彼女にとって一番大受けしたのは顕界の漫画だったりする。
恋愛ものから少年漫画までサポートしているのは多岐にわたる。


先日も自分の弾幕カードの名前に好きな漫画のネタを詰め込んでいて
思わず笑いが漏れてしまった。
ちなみに彼女の嫉妬表現もどう考えても漫画の行動そのものだったりするので
比較すると面白いというのがうちの技術部にいるナードたちの言い分である。


うちの会社のギーグが、彼女と漫画の話をしたら半日以上帰って来なくてそれはそれで問題になった。
帰ろうとすると、私より大切な人がいるのね、妬ましいとわめき散らして挙げ句弾幕を放つので
結局冴月が救出に向かう羽目になったという。
もっともそのときの姿は霊烏路空であったそうだが。


と、いうことで私としてはあまり彼女を刺激しない程度に
大量に箱詰めされた漫画本を置いていくだけである。
帰りがけ、嫉妬妖怪から伝言を貰った。
自称現人神が借りた本を回収してくれと言うことである。


思わず絶句してしまった。
考えてみれば地底世界にちょくちょく出入りするのは別に珍しくないのだが
妖怪との縁は色々難しいと思わざる得ない。