□月 ●日  No2071 地底妖怪と命蓮寺

八雲商事は地底の妖怪とも結構接触が多い。地底妖怪が地上に上がらないで居られたのは
結局仲立ちしている者がいたからでもある。故に彼らもそれほど不便を感じることなく
これまで地底でノンビリ暮らすことが出来ていた。
しかし、八雲商事の1セクションでポカミスが発生、よりによって例の神社のおねえさんとか
自称現人神一味を地底に呼び込んでしまった。 まあ、大師様救出のためだったのだが。


地底の妖怪は一応嫌われているということになっている。
あの大師様も持てあましていると言うのだがぶっちゃけ彼女たちを完全に誤解していることが多く、
本人も誤解されてなんぼと思っているため誤解がそのままになっていることが多い。


例を挙げると、嫉妬妖怪あたりがそうである。彼女の仕事は嫉妬の依り代になることであるのだが
「丑の刻参り」は彼女の力を与えるための儀式であり効果はないというのが通例だ。
実態はもうちょっと違う。彼女の本来の存在理由は、嫉妬から他人を守ることでもある。


嫉妬が容易に成就できた方が本来なら彼女の力をより増大させることが可能である。
効果があれば皆がまねするからだ。しかしそれをしないのは、結局彼女が本当に守りたいものは
別にあることを意味している。


さらに表面上は人当たりが良いが腹黒いと言われるが、結局これも特定の人と仲良くなることを
防ぐためだと言われている。腹黒い妖怪なら彼女以上の存在は幾らでも居るし、寧ろ人間の方が
腹黒いだろう。


実のところ、地底妖怪を正しく認識できていないという理由で、八雲商事としても命蓮寺の
評価を保留しているところがある。彼女たちが必要なのは妖怪達というより「都合の良い妖怪」
であることはどうも間違いないようだ。 一応霊能局共々警戒している情勢である。