□月 ●日  No1407 文化研修


社員を幻想郷に慣れさせるのはなかなか大変である。
特に物価周りや生活環境を慣れさせるのは面倒で、一応同じ国の自治区で言葉もある程度通じるのに
まるで海外扱いである。


というわけで幻想郷に慣れさせるのに何をさせるのかって事なのだが
経費は掛かるが幻想郷で金を落とさせるに限る。
皆に小遣いを渡して好きな物を買ってこさせる。買い物内容は制限しない。
食べ物だって良いし、自給している衣服などもいいかもしれない。
ここの地域の物価感覚などを知ることで文化を知ることに繋がるからである。


もちろんお金を使わせるのは幻想郷住人にとっても重要なことだ。
住人たちも我々が落とすお金を当てにしている部分がある。
幻想郷の限界として外界とのお金の流れを確保するのは色々と難しい問題となった。
妖怪達を経済の一部に組み込むことである程度カバーしているとは言え
そこまで社会生活を営むことができるような妖怪は数に限りがある。


従って現地法人のスタッフも可能な限り幻想郷でお金を落として
経済システムの一部にならないといけない。
顕界用の給与と共に幻想郷用の給与が滞在費と別に渡されるのはそのためである。


それにしても皆結構思い思いのものを買ってくるものだ。
浅間は至極わかりやすい。お酒さえあれば幸せな彼女は貰ったお金を
全部お酒に回した。 元経理部なのでお金の感覚はしっかりしており
ほとんどおつりすら残さなかった。


メリーやレンコは幻想郷滞在用の身の回りの物を買っていった。
なかなかの現実路線ぶりである。
しかしながらあまりにお金を使いたがらないので無理矢理だが
ノルマを設けてお金を使わせてしまった。
せめて煙草とか吸っていればある程度金銭感覚が掴めそうだが中々難しいようだ。


余談だが幻想郷でお金を落とせと言っても香霖堂は話は別だ。
ナードたちが香霖堂で買い物したがるが、幻想郷の物価を知りたいのなら
ここで買い物されては困る部分がある。
周辺に店がなく競争原理が働かないし、幻想郷に置いていないものが多く
顕界の物価と比較対象にもしにくい。
香霖堂の商品価格が高いのはコンビニ価格みたいなものだと理解すれば話が早い。
便利さと引き替えに値段が高いのである。


幻想郷中級者ならここで買い物しないのがセオリーだ。