□月 ●日  No1525 電気屋にて


朝8時 電気屋の広告を見ていそいそと並びに出かける。
目指すはテレビ。幻想郷住まいが長いから買い換えずに放置していたが、そろそろ補助金
なくなるという噂を聞いてそろそろ買い換えるかと思っていたところだった。


木枯らしの寒さに震えつつ一時間ほど並んでいると、朝倉がやってきて
私のために並んでくれたのねと言われて絶句する。 そのままナチュラルに割り込みをかけてきた。
私とあなたの仲じゃないと言うが、それはただのパワハラじゃないのか。
幸いにして見た目の年齢は近いだろうから、カップルとして見られていると思われるので
周囲の視線はあまり痛くない。
こうなってくると、もうなるようになれと思ってしまう。


これには理由がある、朝倉がほぼすっぴんなのだ。
せめて眉毛くらい描けよとか色々思うところがある。 すこし身だしなみ整えたほうがいいですよと
小声で言ったら、大丈夫と言われた。 こっちは全然大丈夫じゃないのだが。


そんな話をしていたら、自分より遙か前で並んでいるおねえさんが何処かで見た外見をしていて
コメントに窮する。誰が見ても明羅女史である。あの辺に並んでいるとなると完全に前日から
並んでいるとしか思えない。 


それにしても、合コンに行く北白河のようにばっちり化粧もきめていて流石というより他はない。
この糞寒い中スカートで生足を露出しているところもまた流石である。
朝倉の服と比較すると一目瞭然だ。だが、風邪引いて貰いたくないという考えからすると
朝倉の服装の方が合理的だ。


さて朝倉だが、テレビを買うのかと思ったら全く別の物を買ってきていた。
しかも並ばなくてもいい商品だった。 
私はと言うとなんとかテレビを確保したのだが、私が最初に目を付けたテレビは明羅女史が手に入れて
二番目の希望のテレビを買ったといった形だ。 これだとサイズが少し大きい。 大は小を兼ねるからいいかと
思ったが家に持ち込むと無駄に大きかった。 


ところで明羅女史が何故あのタイミングでテレビを買ったのかいまいち分からない。
色々勘ぐっても仕方ないと思うのだがまあ、考えるだけ無駄かも知れない。
あの後帰り道で岡崎の車とすれ違ったが、多分彼女は買えなかったろうなと思う。