□月 ●日  No1627 契約がたいせつです


知り合いが契約に関するお金のトラブルに巻き込まれてしまい、私のところに相談してきた。
なんでも支払うもの支払わないという。話を聞いたら知り合い同士できちんとした契約書も
領収証もないという話なので、それはあなたが悪いと言うしかなかった。
勿論支払わない方も支払わないほうであるのであるが、良く聞けばできあがったものに一切
ノークレームでやっており、成る程一見すると無償提供にも見える。
どちらにせよ詐欺的手法ではあるので、そういう人物とは確実に縁を切るべきだと考える。


さて我々八雲商事はあくまでビジネスで妖怪と渡り合っている。
幻想郷で仕事をするのは危険と隣り合わせであることは何度も取り上げられていることであるが
基本的に重要なことは相手との意見のすり合わせがあるかどうかということだ。


つまるところ、なにかを提供するということは相手の希望をきちんと訊くことに他ならない。
その上できちんとしたものを納品する。 仮に自分の好きなように仕事をした上で
品々を提供したとしたらそれがどれだけのクォリティであったとしても、それはプロの仕事では
無いと考える。


すなわちクォリティコントロールも同時に必要だと言うことだ。
こちらは慈善事業ではないから、例えばAというものが欲しいとして、それが必ずしも
一流メーカーのものでなくてはいけないというわけではない。
必要十分なものを送ることで我が社の利益が確保される。


もちろんクォリティを高く要求する自称現人神みたいな人物にはそれなりの内容で
臨めば良いわけだ。 連中との商売は利益が薄いが、個数が多いからかなり吸収できる部分もある。


重要なことは、クライアントと我々できちんとした契約がなされて、正しい取引ができることである。
これは妖怪相手でも人間相手でも同じ事であり、円滑な取引は今後の関係に大きく影響するだろう。
くれぐれも皆が慈善事業でやっていると思ってはいけない。
皆が計算尽くでやっていることを理解しないとならない。