□月 ●日  No1759 研究開発マイルストーン


朝倉がいつになく忙しそうなので今日は平和である。
所謂研究マイルストーンの確認会のためで一年に3回行われている。
十分な結果が出せなかったり、必要以上に予算が掛かってしまった研究は
一時凍結されたりもする。朝倉が研究しているものでも同様だ。


八雲商事はあくまで民間企業である。一応でもきちんと利益を出すしかないわけで
そのためにはきちんと儲ける仕事をすると同時に経費を掛けない様にしないとならない。


幸いにして、八雲商事の研究開発をする人間はコスト関係をきちんと理解した者ばかりだ。
朝倉理香子が最初にやってきたとき、彼女は金食い虫になるのではないかという懸念が
あったのだがそれは杞憂だったという。


魔法使いに時間的制約は少ないと言っても、朝倉は元々月の都に復讐するという
初期目的のためにありとあらゆる研究手法は顕界におけるプロジェクト同様に最適化
されていたらしい。これは彼女の友人関係に根っからの商売人が多く、その手の
思想をたたき込まれたからと言われている。


研究開発において注意しないといけないのは研究そのものが目的化し、
フリーライダー化してしまうことを言う。つまり研究生活そのものに関係者が
満足してしまうことだ。これは避けないとならない。
その辺の指摘はやはり妖怪からなされた。彼らは彼らで苦い経験がある。


ちなみに朝倉の発表はさながらコスプレ発表会みたいになっているが
内容はとても素晴らしいと明記しておく。
コスプレの珍妙な姿に誰も笑わないのはいささかシュールであるが
研究者は皆必死なのである。